Beyond the Horn Unit
~ホーンユニットの彼方に~
1.概要
2024-08-V1.0
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[ ホーンをダイレクトラジエータユニットに更新したクリズラボの最新システム ]
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[ 10数年の相棒だったホーンユニットと38㎝ウーファーの2Wayシステム ]
■ 突然我が家にフルレンジユニットが・・・
レコーディングモニターなのに「じゃじゃ馬」とも言えるTADのホーンシステム。それをDEQXで調教して名実ともに名馬となったシステムに17年間お世話になりました。
そのホーンシステムを超えた新型ユニットとの出会いは突然でした。
オーディオ専門誌 Stereo Sound(ステレオサウンド)でお馴染みの三浦孝仁氏から、ある日突然宅急便が届きました。
三浦氏とはDEQXの発売(2007年)と同時に「AUDIO BASIC誌(vol.44)」に初の製品である「PDC-2.6」を紹介して頂いて以来のお付き合いです。
そして、実は既にクリズラボの商品として紹介させて頂いているツィーター用のBOXも元を正せば氏から紹介されたユニット(beyma TPL-200)に端を発します。
常に世界の最先端オーディオ機器と接している氏ならではの感覚が嗅ぎ分けた、時々の一品を田舎住まいの私に紹介してくれています。
そして、今回の宅急便で送られてきた製品がここでご紹介する MARKAUDIO 社のスピーカーユニット Alpair 11 MS です。
突然我が家に到着したユニットの意味を私なりに解釈すると次のような感じです。
「ホーンユニットに未来はあるのか」・・・という氏からの問いかけかも?
クリズラボはソースの情報を可能な限り正確に再現することを目標にしています。
慣れ親しんだホーンユニットですが コンプレッションドライバー特有の歪みから逃れることは出来ません。
これらの歪みがソースに独特の色気を与えることがあったとしてもそれは「正確な再現」ではありません。この事実は長年の付き合いからも、そしてホーンの宿命としても感じていることでした。
もし、私が理想とする「目標」に一歩でも近づく可能性があるなら全て試すべき・・・が今回の結論でした。
そのホーンシステムを超えた新型ユニットとの出会いは突然でした。
オーディオ専門誌 Stereo Sound(ステレオサウンド)でお馴染みの三浦孝仁氏から、ある日突然宅急便が届きました。
三浦氏とはDEQXの発売(2007年)と同時に「AUDIO BASIC誌(vol.44)」に初の製品である「PDC-2.6」を紹介して頂いて以来のお付き合いです。
そして、実は既にクリズラボの商品として紹介させて頂いているツィーター用のBOXも元を正せば氏から紹介されたユニット(beyma TPL-200)に端を発します。
常に世界の最先端オーディオ機器と接している氏ならではの感覚が嗅ぎ分けた、時々の一品を田舎住まいの私に紹介してくれています。
そして、今回の宅急便で送られてきた製品がここでご紹介する MARKAUDIO 社のスピーカーユニット Alpair 11 MS です。
突然我が家に到着したユニットの意味を私なりに解釈すると次のような感じです。
「ホーンユニットに未来はあるのか」・・・という氏からの問いかけかも?
クリズラボはソースの情報を可能な限り正確に再現することを目標にしています。
慣れ親しんだホーンユニットですが コンプレッションドライバー特有の歪みから逃れることは出来ません。
これらの歪みがソースに独特の色気を与えることがあったとしてもそれは「正確な再現」ではありません。この事実は長年の付き合いからも、そしてホーンの宿命としても感じていることでした。
もし、私が理想とする「目標」に一歩でも近づく可能性があるなら全て試すべき・・・が今回の結論でした。
■ Alpair 11MS とは
最初に、新たなシステムのMidレンジを担うユニットとなった
Alpair 11 MSについて。
このユニットは通称「六半(ロクハン)」(6.5インチ=16.5㎝)」と呼ばれるサイズのフルレンジユニットです。
振動板の直径が実質で11㎝、これに特許出願中のMono Suspension(モノサスペンション)方式であることから「11 MS」と名付けられた・・・と推察されます。
SPユニットは通常二つのサスペンション(懸架装置)を持っています。振動板のエッジとボイスコイルに取り付けられたダンパーの二つです。(下図 左)
ダンパーはボイスコイルが狭いギャップ内で接触することなく動作できるようにするための重要な役割を担っています。(同図右)
しかし、一方ではボイスコイルで発生した動きを妨げたり、ダンパーから発生した音波が本来の再生音に悪い影響を与える可能性を持っています。
このダンパーがなければボイスコイルは振動板のみを駆動すれば良いため、微少な音量での反応(初動感度)などの向上が期待されます。
もしエッジだけでボイスコイルを安定して保持できればダンパーは不要となり、スピーカーユニットとしてはより理想的であることは論を待ちません。
そして、これを実現したのが本ユニットであり、同社の高級モデルであるAlpairシリーズのMSモデルはダンパーレスタイプとなっています。
このユニットの開発・発売元であるMARKAUDIOは創設者であるマーク・フェンロンが中国に拠点を移して新たに活動している会社です。
高度な設計と製造技術がなければ実現出来ないダンパーレス構造のユニットなどを含めた全ての製品が極めてリーズナブルな価格で提供されていることには驚きと喜びを禁じ得ません。
クリズラボ設計のBOXとこのユニットで200万円(2セット)のホーンシステムを不要にできるのか、興味津々と言ったところです。
もしこれが成功ならオーディオもまだまだやり方次第では価格を超越したサウンドを手に入れることが出来ることの証明にもなります。
特にDEQXオーナーさんにとってはDIYを駆使することで最上級のサウンドを手に入れる可能性を秘めた楽しいジャンルだと感じます。
このユニットは通称「六半(ロクハン)」(6.5インチ=16.5㎝)」と呼ばれるサイズのフルレンジユニットです。
振動板の直径が実質で11㎝、これに特許出願中のMono Suspension(モノサスペンション)方式であることから「11 MS」と名付けられた・・・と推察されます。
SPユニットは通常二つのサスペンション(懸架装置)を持っています。振動板のエッジとボイスコイルに取り付けられたダンパーの二つです。(下図 左)
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[ 上記イラストと動作図は
DIY-Sound様のHPより転載
]
ダンパーはボイスコイルが狭いギャップ内で接触することなく動作できるようにするための重要な役割を担っています。(同図右)
しかし、一方ではボイスコイルで発生した動きを妨げたり、ダンパーから発生した音波が本来の再生音に悪い影響を与える可能性を持っています。
このダンパーがなければボイスコイルは振動板のみを駆動すれば良いため、微少な音量での反応(初動感度)などの向上が期待されます。
もしエッジだけでボイスコイルを安定して保持できればダンパーは不要となり、スピーカーユニットとしてはより理想的であることは論を待ちません。
そして、これを実現したのが本ユニットであり、同社の高級モデルであるAlpairシリーズのMSモデルはダンパーレスタイプとなっています。
このユニットの開発・発売元であるMARKAUDIOは創設者であるマーク・フェンロンが中国に拠点を移して新たに活動している会社です。
高度な設計と製造技術がなければ実現出来ないダンパーレス構造のユニットなどを含めた全ての製品が極めてリーズナブルな価格で提供されていることには驚きと喜びを禁じ得ません。
クリズラボ設計のBOXとこのユニットで200万円(2セット)のホーンシステムを不要にできるのか、興味津々と言ったところです。
もしこれが成功ならオーディオもまだまだやり方次第では価格を超越したサウンドを手に入れることが出来ることの証明にもなります。
特にDEQXオーナーさんにとってはDIYを駆使することで最上級のサウンドを手に入れる可能性を秘めた楽しいジャンルだと感じます。
■ Alpair 11MS を知る
目標は3Wayシステムの中核となる中高域を担ってきたホーンを置き換え、それを超えることです。
この重責を担う予定の「Alpair 11 MS」は基本的にフルレンジユニットとして開発されています。
もしこの特性が活かせればホーンユニット中心のシステムでは不可能な様々な再生形態が考えられます。
例えば本ユニットのみで再生する「ロクハン一発」のフルレンジシステムはオーディオ再生の一つの理想形でもあります。
また、ツィーターをプラスして高域の精度を高めた2Wayシステムはコンパクトでありながら本格的なサウンドが楽しめる大変魅力的なシステムになりそうです。
更に、38㎝ウーファーをプラスした本格的な3Wayシステムは低域に於ける音圧の壁を取り払った最上級の音楽再生が可能になるでしょう。
今回はこれらの夢のような可能性を試してみることにしました。
--------------------------------------------
まず最初にフルレンジユニットとしての性能を発揮できるBOXの条件を探ります。
結果は内容積が10㍑のときに最も素直な低域特性が得られる事が判りました。
次に手持ちの箱にユニットを取り付けて高域の指向特性を測定します。
容積が40㍑と大きいため低域はだら下がりの特性となっていますが無視します。
指向性は3kHz以上で大きく乱れるロクハンユニットらしい特性となっています。
往年の名器である三菱のP-610の測定結果も併せて載せておきます。
指向特性は振動板の形状や面積で決まる要素が強いこともあり、どちらもも3kHz以上で大きく乱れてきます。
ツィーターをプラスして高域の特性を重視する場合はこのユニットでの高域は3kHzまでとするのが良さそうです。
以上の結果を元に専用BOXの設計を行いました。
この重責を担う予定の「Alpair 11 MS」は基本的にフルレンジユニットとして開発されています。
もしこの特性が活かせればホーンユニット中心のシステムでは不可能な様々な再生形態が考えられます。
例えば本ユニットのみで再生する「ロクハン一発」のフルレンジシステムはオーディオ再生の一つの理想形でもあります。
また、ツィーターをプラスして高域の精度を高めた2Wayシステムはコンパクトでありながら本格的なサウンドが楽しめる大変魅力的なシステムになりそうです。
更に、38㎝ウーファーをプラスした本格的な3Wayシステムは低域に於ける音圧の壁を取り払った最上級の音楽再生が可能になるでしょう。
今回はこれらの夢のような可能性を試してみることにしました。
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まず最初にフルレンジユニットとしての性能を発揮できるBOXの条件を探ります。
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[ 箱の内容積と低域の再生特性を設計支援プログラムに描かせた結果 ]
結果は内容積が10㍑のときに最も素直な低域特性が得られる事が判りました。
次に手持ちの箱にユニットを取り付けて高域の指向特性を測定します。
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[ 三菱P-610用に製作した箱を利用して指向特性を測定 ]
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[ 指向周波数特性の測定結果 ]
容積が40㍑と大きいため低域はだら下がりの特性となっていますが無視します。
指向性は3kHz以上で大きく乱れるロクハンユニットらしい特性となっています。
往年の名器である三菱のP-610の測定結果も併せて載せておきます。
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[ 三菱P-610:鹿革フリーエッジ改造品とその指向周波数特性 ]
指向特性は振動板の形状や面積で決まる要素が強いこともあり、どちらもも3kHz以上で大きく乱れてきます。
ツィーターをプラスして高域の特性を重視する場合はこのユニットでの高域は3kHzまでとするのが良さそうです。
以上の結果を元に専用BOXの設計を行いました。