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No. ユーザー DEQXの導入機種とシステムの特長 掲載時期
121 岐阜県 MI氏 HDP-4 / FostexユニットのSPシステムにDEQX導入[そのー1 } 2021年12月
[ 音工房Z製スピーカーとアキュフェーズのシステムにDEQXとATTを追加 ]

 
[ マニュアルを熟読され、まずはご自身でDEQX調整にトライ ]


[ 再生システム系統図-1:DEQX以降の再生システム ]


[ 再生システム系統図-2:音楽ソース再生系統(MI氏作図) ]

■ 感 想 文

Kurizz-Labo(以下KLと略す):
オーストラリア、シドニーのロックダウンで入荷が大幅に遅れましたが、10月末、ようやくDEQXとATTをMI氏宅に納品することができました。

すると、その翌日から早速ご自身によるDEQX調整がスタートしました。
以下はその経緯とやりとりを記したものです。
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MI氏:
今日はアンプ2台を追加して結線を行い、3way状態でスピーカーが鳴っています。

スピーカーを壁から遠くなるように引き出して内振りにセット。
ユニットから1mの所にマイクを立てて測定を開始しました。
左右での距離差を2mm以下にするのはなかなか厳しいです。

測定したデーターを拡大して最初の反射波を見つけるのはなかなか困難でした。
スピーカーとマイクの間に布団を敷きましたが毛布の方がよかったかもしれません。

次の作業でスピーカーを引き出したままルーム特性を測定してしまい失敗。
スピーカーを元の位置に戻すとバスレフポートが壁面に近づき低音が過多になりました。
しかし、こうした状況の変化がデーターで判るのはとても面白いですね。

アッテネーターも設置して使い始めましたがこれは最高です。
音量調整時の手応え(動作音?)もとても良い感じです。

測定時、DEQXのボリュームを0dBまで上げてアッテネーターでレベルを調整していますが、よろしいでしょうか?(※)
測定レベルの目安まで上げると結構な音量でピユーピユー(信号音)音が出ます。
夜間に実施すると女房に怪しまれる(笑)ので今日は中止。
3日後に作業を再開しますがとりあえずは音楽が鳴っています。
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KL:
測定時のATTの使い方
・ ATTを-20dBにセットして信号レベルの調整はDEQXのVRで行って下さい。
・ 画面のVRをマウスで調整しますが、細かくは下記の要領でセットします。

[ 0.1dB単位で調整可能 ]

・ それにしても、納品した翌日にここまで・・・素晴らしい!
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MI氏:3日後

おはようございます。

実は測定マイクが重要だと思い、分不相応にもEarthworksのM30を購入しました。

今朝届いたので早速ユーザー登録をしてシリアル番号を送り、Calibration File を送ってくれとリクエストしたところ、メールにテキストの数値データーが送られてきましたが、DEQX用のファイルはありません。

DEQXのCalibration softで読み込むにはファイルに変換しないと取り込めないようですが、どうすればよいでしょうか。(※)

余談ですが、スピーカーケーブルに大金を出すくらいなら測定マイクを、と思うオタクオヤジです・・・・すいません。
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KL:
ケーブルよりマイクに投資 ・・・ 涙が出るほど嬉しいクリズラボでした。

※)測定マイク用の補正ファイルはマイクロフォンメーカーからDEQX社に実測データー(下図)が送られてきます。

[ マイクの実測データー ]

これをDEQX社がCalibration softで読み込めるフォーマットに変換して製品に添付しています。(Ex.□□□□DM30-INV.mic)

MI氏の場合、この変換作業が適用されていませんので読み込みはできません。
しかし、Earthworks社のM30は18kHz程度まで±0.2dB以下となっています。
DEQXで測定に使用する場合の精度としては十分なものと言えます。
このため、とりあえずは補正ファイルなしでも大丈夫、とお伝えしました。
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MI氏:4日後

Room Measurementの最中に部屋が実際の聴取状態でないと正確な測定ができないことに気づきました。
改めて家具などを元通りに配置して測定をやり直しましたが意外にもあれやこれやと楽しい作業でした。

ルーム測定を終えて一段落したところで、現在までの感想(感動)を一言。

■ 感動:その-1

[Profle-0]には補正なしのクロスオーバーを設定をしてみました。
・・・今までの苦労は何だったのでしょうか。

L/C(コイルとコンデンサー)の値を計算し、-6dBや、-12dB/oct.の回路図を作り何度も計算します。
しかし実際のコイルとコンデンサーには計算通りのものがなく、仕方なくコイルのエナメル被膜を血だらけになりながら紙ヤスリでピカピカにして容量を調整しながら半田付け。それも2チャンネル分です。

音を確認しながら特性の異なるネットワークを3つも4つも作るのは考えるだけで・・・ しかし、DEQXならこんな苦労は嘘のように簡単です。
マウスでも、数値入力でも可能で、いずれにしても一瞬でできあがります。
凄い・・・凄すぎて泣けそうでした。

■ 感動:その-2

ルーム補正用のEQをAutosetに頼って設定したら低音の切れが別世界。
私の部屋は鉄筋コンクリート打ち放しの12帖程度です。
長辺(5.1m)に平行にSPを設置していますから、60HZと120Hz付近に定在波が立ち、ワンワンするんですが、見事に消してくれました。
・・・また泣けそうです。

■ 感動:その-3

Parametric-EQを使うとボーカルやオーケストラの音を実際に聴きながらがリアルタイムに音質が変化し、その効果がよく分かります。

これに気が付く前は後ろ向きでパソコンを操作していましたが、今後はノートPCにソフトを入れ、スピーカーと向かい合ってEQの作り込みをするつもりです。

■ 感動:その-4

Roonの再生はネットワークトランスポートからUSBで出し、MutecのDDコンバータでPCMに変換してDEQXのAES/EBUに入力してみました。
もうDACは要らないかもしれません。

確認のためRoonからスフォルツァートのDSP-Pavo(ネットワークプレーヤー)でDA変換してからDEQXのアナログ入力にも入れて確認しています。
なんでも出来てしまうHDP-4はすごい。

これについては、はじめからHDP5にすればイーサネット入力もあるじゃん、との意見もあります。

分かっていましたがタッチパネルというのがなぜか好きになれなかったんです。
※ タッチパネルは駆動用CPUを含め、完全にシャットダウンが可能です(KL)
また、ネットワークプレーヤーに外部クロックを入れた時の効果が大きかったことから、DEQXに接続する機器にはすべてマスタークロックを入れています。
これをマルチアンプ環境でも維持したかったというのが本音です。

■ 感動:その-5

ひととおりの設定を終えて普段はクラシックのピアノ曲が多いのですが、数少ない女性Jazz Vocalを聴いてみました。

人間の声はやはり判りやすいようです。
こんないい加減な調整しか出来ていないのに、ダイアナクラールが部屋に来てくれました。
・・・また泣きそうでした。

■ 感動:その-6

従来、音量調整はLinnのプリアンプをリモコンで操作していました。
左手方向にあるLINNにリモコンに向けないと受け付けてくれず意外に面倒でした。

今度は違います。
スピーカーの真ん中に鎮座し、両サイドにパワーアンプをはべらせたウォールナット材のサイドパネルが美しいアッテネーターに向かって操作するだけで音量を自在にコントロールできます。

音量の調整に伴って発せられる確実な操作音もたまりません。
・・・またうれし泣きです。

嬉しさの余り長文となってしまいました。
今度の休日、更に調整に励みます。
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数日後:

背面にあるウーファーのバスレフポートがコンクリートの壁に接近するため、いっそのこと塞いで密閉型として使用することを考えました。
早速、MJ誌のO氏が利用している水槽用のろ過マットをバスレフポートにキチキチに突っ込みました。

ルーム測定では100Hz以下の山と谷が小さくなり、最低音がだら下がりになりますがこちらのほうが素直に思えます。

低音不足解消のためウーファー用のパワーアンプゲインを3dB上げると今度は低音過多となり、これは取りやめ。

クリズラボにお送りした設定データーのファイル名のVentedがバスレフ、Closedは密閉です。箱の設定についてご意見をお聞かせ下さい。
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KL:MI氏への提案

バスレフと密閉の場合の測定データーを比較してみました。
 
[ バスレフ方式による周波数特性 ] [ 密閉方式による周波数特性 ]

65Hzのピークは同様ですが、全体のフラットネストと超低域の再生帯域では密閉の方が良好です。

結論:密閉して使用することを推奨します。
その上で、後日ルーム補正のみをリモートで設定することをご提案致します。

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MI氏:3日後

判りやすいグラフ、ありがとうございました。
きっぱりとバスレフをやめて密閉で行くことにします。

ダクトに吸音材を入れ、さらに密閉用のフタを付けました。
この状態で送っていただいた、DEQX設定ファイルを読み込んでRoom測定ですね。
週末が楽しみです。
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KL: プロファイル設定の腹づもり:

P0:DEQX補正なし(チャンデバ機能のみ)
P1:標準再生モード(DEQXによるフル補正状態)
P2:クラシックのオーケストラが聴きやすい設定
P3:深夜用ラウドネス補正

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MI:リモート調整後

今、設定して頂いたファイルで聴いています。
プロフィール1が万能ですね。
オーケストラ系はP2が壮大な感じがしますが、コンチェルトなどはオケがちょっと出しゃばりすぎの気がしますので、P1がいいです。

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その後、気になっていた前回の密閉型もどきに少し手を入れました。
バスレフポートの下にニードルフェルトを4つ折りで挿入し、ポートの裏蓋をねじで固定しました。
吸音材が増えて、密閉度を上げた感じです。
スピーカーケーブルを交換し、測定場所の自由度が増したので左右の壁面から1m程度離して測定をしました。

最低共振周波数が40Hz、Mmsは57g、Qtsが0.57となりました。
吸音材が増えてSP内部の共振が減少したのではと推測しています。

そして、今回はマイクとSPの間に布団二つ折りや来客用の分厚い座布団などを置きましたが天井からの反射がmidとツィーターで入るようです。

天井高2.4m、マイクの高さが1.1mでしたので天井までが1.3m程度になります。
マイクとSPを底辺(1m)とする二等辺三角形から計算するとSPから天井、天井からマイクまでの二等辺三角形の斜辺は (0.5^2)+(1.3^2)=1.94です。
そして、これの平方根は1.398です。

反射音は1.4mx2=2.8mでマイクに到達することになります。
直接音は1mなので反射音はそれより1.8m分遅れてマイクに到達します。
1.8mは音速で5.3ms、つまり2.4mの天井からの反射がある限初期反射の到達は5ms程度となり、これが限界のようです。天井には吸音材を付けられませんので。

初期反射が5msだと270Hz程度までが補正の低音限界と思います。
計算あってますか?

実際には天井よりも左右の壁、机、本棚の方が少し近いので現実的には3ms程度しか取れないようです。
anechoicのバーを動かすとグラフが連動して動くのか面白いです。
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ところで、Roonですが、私の楽曲リストには、44.1KHz、96KHz、192KHzのPCMと2.8MHzから11.2MHzまでのDSDが混在しています。

LINNからネットワークオーディオに入門した私はDSDには懐疑的でしたがDSDオンリーの音源もあり、結果としてNASに同居しています。

こうした多様なフォーマットの音源をそのままDEQXには入れたくない気分です。
このためPCMやDSD信号を174KHzや192KHzのPCMに変換してくれるmc3+USB(MUTEC)を入れ、AES出力をDEQXに入力しています。

ただし、この状態での大きな問題は音源のクロックが変わった時、同期が間に合わず次の曲の頭がミュートされることです。

OpenHomeではなんとも仕方なかったんですが(知らないだけかも・・・)、Roonは曲間の間(時間)を調節できます(※)ので4秒と遅めにしておけばミュートはかかりません。実にめでたいです。

ピアノコンチェルトはグリーグ、チャイコ、シューマンなど「出だしが命!」的なところがありますので助かってます。

DEQXとATTが到着して一月弱。
緻密な日本語マニュアルとクリズラボの手厚い対応のお陰でここまで来ることができました。

不満が出てきたら改めて相談させて頂きます。

岐阜県 MI

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※ Roonでの設定 → オーディオ → ディレイが必要なデバイスの設定 →
  再同期ディレイ → ディレイ時間、0〜10000ms(10秒)から選択
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■ データー紹介(Kurizz-Labo)

・ 密閉箱でのスピーカー測定を実施して頂き、その結果からDEQXの設定を実施
  ファイルをDEQXにセーブして頂き、リモートで実施したルームEQの実施結果

[図1]ウーファーBOXを密閉式に変更(以下同じ)後のSPシステム全体の周波数特性

・ 各ユニットの再生レンジも広く、クロスオーバーの自由度は高い

[図2]DEQX補正なし、チャンデバのみの周波数特性

・ 低域側=180Hz、高域側=1.8kHzのクロスだが、高域=3kHzも試してみたい

[図3]スピーカー補正(F特、位相、群遅延、ステップ応答)後の周波数特性

・ 補正後、マイク位置では補正範囲内でフラットだが部屋の影響で凸凹になる

[図4]P1:標準モード(クリズラボ推奨)の周波数特性

・ 300Hz〜5kHzの帯域を最優先に30Hz〜20kHzを出来る限りフラットに調整

[図5]P2:クラシックのオーケストラ向き設定での周波数特性

・ 低域を分厚くし、高域は空間減衰を考慮したホールでの聴取状態をシミュレート

[図6]P3:深夜でも迫力ある音楽を楽しむラウドネス特性での周波数特性

・ 低域と高域をブースト。深夜での低レベル再生でも迫力ある再生を期待


文責:クリズラボ・栗原

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