■ ご了解を頂いた方々のシステムと、試聴リポートを掲載させて頂きました.

2015年10月:東京のMY氏/ DEQX-MATE 導入リポート-その2
(2015年11月15日掲載)

■ 往年の名器が復活 
Technics vs DIATONE スピーカーシステム。

■ TechnicsのSB-M10000を1ペア増設したフルスペックのシステムが完成!

 
   < 6台の大型スピーカーが小さく見える!広大な空間に鎮座する名器達 >

■ 内側の4台がテクニクス SB-M10000(1995年頃発売、受注生産品、@230万)
■ 外側は三菱DIATONEモニタースピーカー AS-4021(1966年頃発売、受注生産品)

 
    < DEQXにスピーカー別のProfileを設定して切り替えるシステム >

 
    < 前回のリポートでご紹介したSB-M10000が1ペアでのシステム >

 
    < 大型スピーカー6台でもゆとりの空間を持つリスニングルーム >
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■ 前回の調整時、SB-M10000にユニットの不調が判明。修理をお願いしました

■ その過程で修理と共にSB-M10000をもうワンペア導入することになりました

■ さてこの4本をどのように鳴らすか、ここは思案のしどころです

 
    < 20年前に開発されたテクニクスの集大成、SB-M10000の内部構造>

■ 同じ帯域で2つのユニットを鳴らすと必ず干渉が生じます

■ しかし、位相のズレが無視できるような低域ではあまり問題とはなりません

■ 巨大なエアボリュームを持つ部屋を考えると低域の増強策もあり得ます

■ 相談の結果60Hz以下を受け持つユニットだけをパラで利用することにしました

 
         < 距離1.5mにおけるSB-M10000の周波数特性>

■ 上の図は60Hz以下のサブウーファー領域をパラで構成したスピーカーの特性です

■ 25Hzから30kHzまでという広帯域な特性はさすがTechnicsの集大成版です

■ ちなみに前回登場した50年前の三菱製超大型スピーカーの特性を下に示します

 
       < 距離1.2mにおける周波数特性(L/Rを重ねて表示)>

■ 50年も前の製品がこれだけの特性を維持しているのはさすがです

■ そして、両者の特性から設計思想や音質の狙いなどを改めて発見した思いです

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■ 次にDEQXで補正したSB-M10000を使って聴取位置での特性を測定します

 
     < 聴取位置で測定すると部屋の影響を見ることが出来る >

■ 結果は予想外のもので、350Hzを境に別のシステムが鳴っているような特性です

■ 試しにこの状態でCDを再生しても音楽として聞くことはできません

■ 部屋の特性は前回の三菱製スピーカーで確認し、問題はありません。

■ となれば、ここはDEQXのマニュアルEQが出番となります

■ EQの効果を測定して確認しながらも最後は聴感で追い込んで行きます

■ 決定したEQによる聴取位置での特性は下図のようになりました

 
     < 部屋の影響をDEQXのマニュアルEQで補正した後の特性 >

 
     < 参考までに三菱のAS-4021で再生した場合の特性を示します >

■ ここで、聴取位置での特性図に1kHzから10kHzまでの傾きを赤線で示してみました

■ こうすることで1kHz以上の高域特性の違いが明確になってきます

■ 特性上は明らかに違いますが、聴感上の帯域バランスには大きな違いはありません

■ これは測定結果と聴感が一致しない典型的な例だと言えるでしょう

■ なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

■ 大きく見ると次のような要因が考えられます

  ・ 中高域を受け持つユニットの指向特性
  ・ 部屋の残響時間と残響の周波数特性
  ・ スピーカーからの距離

■ 今回の場合、残響に関わる部屋と聴取位置(距離)は同じです

■ つまり、機種による大きな違いは使用ユニットの指向特性だと考えられます

■ 三菱/AS-4021の中高域(300Hz以上)ユニットは12㎝×2、5㎝×2のコーン型

■ Technics/SB-M10000の中高域(600Hz以上)は6㎝と2.5㎝のドーム型です

■ また、このドームはコーンの口径の半分であり、指向性では極めて有利です

■ 指向性など、ユニットの構造に由来する基本的な性質は後からの補正は出来ません

■ 最終的にはこうしたユニットの性格が音質を決定する大きな要因にもなります

■ こうした様々なユニットの選定とシステム全体のまとめ方などにDIYオーディオの
  醍醐味がありそうです


完成したシステムの調整を終えた10日後、MY氏から嬉しい感想文が届きました


新たに建設した東京の事業所ビルに多目的な空間を設け、オーディオ装置も設置しました。

■ ユニットの不調で複数回の調整となってしまいましたが、無事に完成して10日ほどが過ぎました。

■ 私は既に長野の実家にDEQXを導入していますので効果については知っていますが、改めて
  大きな空間での役割が検証できたと感じています。

試聴は自分ならここで聴きたいというリスニングポジションを設定し、DEOXの効果をON/OFF
  しながら様々なソースを試聴してみました。


  

1.ピアノ : ショパン夜想曲集(清水和音)

   ■ ONにするとモコモコ感が減り音の透明感が向上。すっきりした音になります。


  

2.ヴァイオリン : バッハ無伴奏Vn のためのソナタ&パルティータ全集(奥村智洋)

   ■
ONにすると高域が伸び、さわやかさが増します。


  

3.弦楽四重奏 : スメタナ弦楽四重奏#1(スメタナ弦楽四重奏団)

   ■
ONでは音に厚みが加わり,楽器の定位が明確になりました。

■ 以上はCD での評価です。

■ 次はハウリング対策(※)が一応出来ましたのでLP でも再生してみました。

  

4.シンフォニー : ドボルザーク#9(カラヤン)45rpm盤

   
ON では音に厚みが増し,楽器のディテールも向上し、大迫力になりました。

   
そして、指揮者の位置で聴く音に近いのでは?と感じられる音です。

    何を隠そう(笑)実は小生の求めている音がここにあることを改めて実感した次第です。


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■ 三菱のスピーカーは50年前、Technicsも20年前の製品です。

■ 設置場所は多目的ホールでもありオーディオルームとしてはかなり大きな空間です。

■ ここでどのような再生音が聴けるのか多少の心配もありました。

■ 結果はDEQXによるスピーカーと室内の音響特性の補正で見違えるように良くなりました。

■ しかし、信州の実家でDEOXを使用しておりますので効果の程は既に熟知しています。

■ そのため、今回は少し感激慣れしていることも確かです(笑い)が・・・・・


                                      長野&東京のMYより



(※)60Hz以下を受け持つ22㎝ドライブユニットと27㎝のパッシブラジエーターが
   それぞれ8個ずつ(左右で16個ずつ)駆動されます。
   これらから再生される圧倒的な低域のエネルギーがアナログプレーヤーの
   カートリッジにまで伝わることでハウリングが発生しました。
   しかし、その後の氏のアイデアでハウリングは大幅に改善されたそうです。

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■ 2機種のスピーカーが同じ条件で鳴らせるシステムは今回が初めてです。

■ 帯域バランスは同等であるにも関わらず音質にはかなりの違いを感じます。

■ あえて言えば「音楽の空間表現的な違い」といったものを感じます。

■ 特性が同じなら同質の音がするはず、というのはスピーカーと部屋とのトータル
  な関係で言えば全く当てはまらないことが今回の例からも明らかです。

■ どちらのスピーカーが鳴っているかは容易に判別出来るほど異なります。

■ 人間の聴覚は前後左右からの複雑な音を総合的に判断して聞いているのだという
  ことを改めて実感できる貴重なケースでした。

■ 実はこの辺りに再生音の質を決定する重要な要素があると考えています。

                               Kurizz-Labo

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