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ハイファイ(高忠実度再生)装置の選び方
2022-08-V1.0
出展/出所/文責 : B.C.J.ムーア著 聴覚心理学概論 の第9章から抜粋
ここでは「聴覚心理学」から見た装置の選び方について述べています。


■ はじめに

より良い 音の基準はなく、定義もない

・ここでは 音源制作者の意図に出来る限り近い音 を高忠実度再生と定義する

・実現手段は、再生システムの 忠実度 精度 の向上が最も重要

・再生装置の各パートはそれぞれに音をひずませる要素がある
※ 波形、雑音、周波数、直線、時間など、ひずみには多様なものがある
・装置全体の最も弱い部分の性能が最終的な再生音を決定する

■ 高忠実度再生のための重要な性能

・周波数特性
 ★ 全ての周波数が同じレベルで再生されること。
※ 30〜16,000Hzで±1dB以内が理想。40〜14,000Hzが±2dBなら良い特性といえる
・ひずみ
 ★ 代表的な高調波ひずみや相互変調ひずみを含め0.1%以下であること

・位相と群遅延
 ★ 周波数成分間の相対的な位相が変化すると再生波形が大幅に変化する
 ★ このためスピーカーの位相応答は音質を決定する重要な要因となる

■ アンプ

・現代において性能的に問題となる製品はほぼ存在しない

・スピーカーの能率と密接な関係があり出力だけで語ることは意味がない

■ スピーカー

・無響室での測定でフラット が理想(使用範囲で±1dB以内が理想)
※ 無響室で既にピークやディップがあれば室内では更に複雑な山谷が発生する
・位相は耳の位置で全ての成分の時間遅れが同一となるべきである

・周波数成分間の相対位相(群遅延等)は反射音より直接音の影響が大きい
※ このためスピーカーシステム自体を補正することが極めて大切
・L/Cネットワークは位相が著しく変化し 大きなひずみの発生要因となる
※ LやCが1個で位相は90°変化。L/Cの組合せでは180°変化する
・指向性の広いユニットは部屋の反射音の影響を受けやすい

・スピーカーにドップラひずみがあるとする主張は葬り去る必要がある

■ デジタルオーディオ機器

規格通りに動作している限り検知できるような音質の劣化は生じない

・最も安価な製品で十分であるが、信頼できるメーカーから買いなさい

■ スピーカーケーブル

・特別なケーブルを使うと音が良くなると主張するメーカーがある

豊かな低音輝かしい高音を再現出来ると言った宣伝は無視しなさい

・そのような主張には何の根拠もないからである

・ただし、ケーブルの抵抗を下げることでスピーカーがより良く働くように
 なることは事実である

■ 結論

・各コンポーネントが全て同じ品質となるように選ぶことが重要である

・予算が限られている場合はスピーカーに最も多くを配分するのが良い

・スピーカーの選び方は、聴き慣れたCDを自分の家で聞くのがベストである

・CDプレーヤーなどのデジタル機器はどれも本質的に同じ音質である


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