No. | ユーザー | DEQXの導入機種とシステムの特長 | 掲載時期 |
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125 | 東京都 TS氏 | HDP-3 / オーディオルームの移転とDEQXシステムの再調整 | 2022年6月 |
[ 製作後大切に保管していたウーファーBOXが満を持して登場 ]
[ TS氏が信条とするCD再生に特化した入魂のシステム ]
[ 40㎝ユニットの取り付け穴が小さく見えるほどの巨大なウーファーBOX ]
< 15年前に開発した真鍮棒によるKZ式防振マウント(左)をTS氏も採用されました(右) >
< オーディオファンの定石? 引っ越しで最初に行うのがスピーカーの位置決定です >
< スピーカーが定位置に鎮座してここから全てが始まる >
< 4月下旬、セット完了で音出しの一報が届きました。その2週間後にDEQX調整を実施 >
一昔前、クリズラボで聴いたスピーカー※の音に感激し、自宅に戻って早々に新型ウーファーボックスの構想に着手。
※ 2015年10月「第3回・DEQXセミナー」 in 軽井沢
クリズラボのウーファーBOXは大型の完全密閉箱に真鍮棒でユニットを固定する方式※とのこと。早速これをコピーして具体的に設計。
※ クリズラボのKZ方式ウーファーボックス説明ページ
完成したBOXは長期熟成保管していましたが今回の引っ越しを機にマルチアンプシステムの3代目スピーカーとして登場させました。
実は前回の2代目から変更したのはこのウーファーボックスだけです!
カリン無垢のフロントバッフルに青タモのボディ。真鍮棒入りの完全密閉式箱で、ダブルウーファーシステムの某スタジオモニターの2倍の重量があります・・・
このウーファーに変更しただけのシステムですが改めて全体を見るとかなり複雑なものとなってしまいました。
しかし、私自身にとっては至ってシンプルな感じで、CDから気持ちの良い音が出ればそれが全てなのです。
CDは「演奏者はもちろん全てを含めて最終的に録音エンジニアが創造した結果の音」であり、それがついに自宅で再現できた!というのが今回の正直な感想です。
もう私の人生も最終章。ソースや機材の聴き比べをしている時間はありません。このままずっとこれで音楽を楽しみたいと思っています。
DEQXのリモート調整は今回が三回目でしたが相変わらずの親切丁寧な対応と長時間に渡る作業、本当にありがとうございました。
取り急ぎ、中間報告とします。
東京都 TS
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■ データー紹介(Kurizz-Labo)
・ 超大型の完全密閉箱に真鍮棒のユニットマウントのKZ方式に変更。
・ その効果は絶大で必要な帯域(30~300Hz)がほぼフラットに出ています。
[図1]スピーカーユニットの周波数特性
・ 中高域を受け持つホーンユニットも極めて優秀な特性を示しました。
・ ちなみに同じウーファーニットを前作のBOXに入れた場合の特性が下図です。
[図2]同一ユニットを標準容量のバスレフBOXに入れた場合の周波数特性
・ リモート調整でしたがその特性の余りの違いに絶句した私。
・ 何をそんなに驚いているのですか、と電話の向こうのTS氏。・・・
・ 我が家より内容積が大きいとは言えなんと素晴らしい特性なのだ(絶句)
[図3]スピーカー測定のデーターから導かれたインパルス応答
・ ホーンの反射音が到達するのは4ms後で十分な直接音成分が確保できました。
・ ユニットの立ち上がりが逆ですがDEQXが補正するので全く問題ありません。
[図4]反射音が除かれた直接音成分の周波数特性
[図5]ユニットの特性から適切なクロスオーバーを設定
・ ホーンの特性からクロスオーバーは前回と同じ300Hzに設定。
[図6]クロスを適用した後の総合特性をパソコンがシミュレート(図のピンク色)
・ この段階で補正後のスピーカーが100Hz~20kHzまでをフラットに再生できることが判ります
[図7]ユニットの実測結果を元にスピーカーの補正データー(フィルター)を生成
・ TS氏のシステムはDEQXのデジタル出力を外部DACでアナログに変換します。
・ このDACにはレベル調整がないため両ユニットの音圧レベルを個別に調整することが出来ません。
・ このためスピーカーの補正を行うフィルター(上図)はユニット固有の周波数特性を補正した上で全体に10dBほどレベル差を下げていることが判ります。
・ DEQXによる10dB程度の補正は全く問題ありませんが理想的にはユニット間の再生音圧レベルの差が3~6dB以内に収まるようシステムで調整しておきたい所です。
・ このフィルターを適用した状態で信号音を出し、聴取位置に置いたマイクで周波数特性を測定して補正を行うルーム補正に移行します。
・ その前にこのスピーカー補正フィルターを適用しない場合とした場合のルーム測定の結果を見ておきましょう。
[図8]スピーカー補正フィルターを適用しない場合の聴取位置における周波数特性
・ このグラフは、DEQXを使用せずにチャンネルデバイダーでシステムを構築し、レベル補正を行う前の特性に相当します。
・ クロスオーバー(300Hz)から上、つまりホーンユニットのレベルが10dB程度高いのでこれを下げればまずまずの聴感バランスが得られます。(下図)
[図9]チャンネルデバイダーで高域を10dB下げた場合の周波数特性(計算値)
・ クロスポイント付近での乱れやホーンユニットの中域にあるピーク成分、そして2kHz以上の高域が低下などはそのままとなります。
・ チャンデバのみでシステムを構成する場合、ユニット単体の絶対的なフラットネスとそれを生かし切るBOXの存在が絶対条件となります。
[図10]DEQXのスピーカー補正を適用した場合の聴取位置での周波数特性
・ 250Hz付近の大きなピークを除けば30Hz~15kHzまでがほぼフラットです。
・ このままではとてもブーミーな音であることが想像され、ここからがDEQXのルーム補正機能の出番です。
・ ルーム補正は上図の周波数特性を最大10個のパラメトリックEQ(イコライザー)で下図のような特性にすることです。
・ パラメトリックEQは中心周波数とゲインとQ(山なりの特性の鋭さ)の3つの要素で周波数特性を調整する機能です。
・ ルーム補正は可変要素が30個となる10個のEQを駆使して行いますが更にこれらが相互に影響し合うため、慣れないと結果を出すのが難しい作業であることは確かです。
・ しかし、この調整は音を聞きながら音の変化を直接確認することが出来るため、大変面白い作業でもあります。
・ 例えばフラットな状態で中心周波数が2kHz、Qが0.2、ゲインを3dBアップするとまるで別のシステムに変身させることができます。
[図11]スピーカ補正とルーム補正を実施した後の最終的な周波数特性
・ 通常、10図から図11の特性に行き着くための調整回数は少なくとも5回程度は行います。多い場合は10回以上にもなります。
・ それが今回はなんと3回の設定変更で図11の特性にすることが出来ました。改めてシステムの基本性能(特性)の良さを実感した次第です。
・ 毎年のお正月に真空管を抜いて足を清掃するというTS氏。
・ CDに入っている音(情報)を100%再現するために構築された氏のシステムにはプラシーボ的な要素や贅肉とは無縁な世界を感じます。
・ 3度目のリモートによるDEQX調整でしたが、基本を押さえたシステム構築の重要性を改めて感じた今回でした。
文責:クリズラボ・栗原
・ 超大型の完全密閉箱に真鍮棒のユニットマウントのKZ方式に変更。
・ その効果は絶大で必要な帯域(30~300Hz)がほぼフラットに出ています。
[図1]スピーカーユニットの周波数特性
・ 中高域を受け持つホーンユニットも極めて優秀な特性を示しました。
・ ちなみに同じウーファーニットを前作のBOXに入れた場合の特性が下図です。
[図2]同一ユニットを標準容量のバスレフBOXに入れた場合の周波数特性
・ リモート調整でしたがその特性の余りの違いに絶句した私。
・ 何をそんなに驚いているのですか、と電話の向こうのTS氏。・・・
・ 我が家より内容積が大きいとは言えなんと素晴らしい特性なのだ(絶句)
[図3]スピーカー測定のデーターから導かれたインパルス応答
・ ホーンの反射音が到達するのは4ms後で十分な直接音成分が確保できました。
・ ユニットの立ち上がりが逆ですがDEQXが補正するので全く問題ありません。
[図4]反射音が除かれた直接音成分の周波数特性
[図5]ユニットの特性から適切なクロスオーバーを設定
・ ホーンの特性からクロスオーバーは前回と同じ300Hzに設定。
[図6]クロスを適用した後の総合特性をパソコンがシミュレート(図のピンク色)
・ この段階で補正後のスピーカーが100Hz~20kHzまでをフラットに再生できることが判ります
[図7]ユニットの実測結果を元にスピーカーの補正データー(フィルター)を生成
・ TS氏のシステムはDEQXのデジタル出力を外部DACでアナログに変換します。
・ このDACにはレベル調整がないため両ユニットの音圧レベルを個別に調整することが出来ません。
・ このためスピーカーの補正を行うフィルター(上図)はユニット固有の周波数特性を補正した上で全体に10dBほどレベル差を下げていることが判ります。
・ DEQXによる10dB程度の補正は全く問題ありませんが理想的にはユニット間の再生音圧レベルの差が3~6dB以内に収まるようシステムで調整しておきたい所です。
・ このフィルターを適用した状態で信号音を出し、聴取位置に置いたマイクで周波数特性を測定して補正を行うルーム補正に移行します。
・ その前にこのスピーカー補正フィルターを適用しない場合とした場合のルーム測定の結果を見ておきましょう。
[図8]スピーカー補正フィルターを適用しない場合の聴取位置における周波数特性
・ このグラフは、DEQXを使用せずにチャンネルデバイダーでシステムを構築し、レベル補正を行う前の特性に相当します。
・ クロスオーバー(300Hz)から上、つまりホーンユニットのレベルが10dB程度高いのでこれを下げればまずまずの聴感バランスが得られます。(下図)
[図9]チャンネルデバイダーで高域を10dB下げた場合の周波数特性(計算値)
・ クロスポイント付近での乱れやホーンユニットの中域にあるピーク成分、そして2kHz以上の高域が低下などはそのままとなります。
・ チャンデバのみでシステムを構成する場合、ユニット単体の絶対的なフラットネスとそれを生かし切るBOXの存在が絶対条件となります。
[図10]DEQXのスピーカー補正を適用した場合の聴取位置での周波数特性
・ 250Hz付近の大きなピークを除けば30Hz~15kHzまでがほぼフラットです。
・ このままではとてもブーミーな音であることが想像され、ここからがDEQXのルーム補正機能の出番です。
・ ルーム補正は上図の周波数特性を最大10個のパラメトリックEQ(イコライザー)で下図のような特性にすることです。
・ パラメトリックEQは中心周波数とゲインとQ(山なりの特性の鋭さ)の3つの要素で周波数特性を調整する機能です。
・ ルーム補正は可変要素が30個となる10個のEQを駆使して行いますが更にこれらが相互に影響し合うため、慣れないと結果を出すのが難しい作業であることは確かです。
・ しかし、この調整は音を聞きながら音の変化を直接確認することが出来るため、大変面白い作業でもあります。
・ 例えばフラットな状態で中心周波数が2kHz、Qが0.2、ゲインを3dBアップするとまるで別のシステムに変身させることができます。
[図11]スピーカ補正とルーム補正を実施した後の最終的な周波数特性
・ 通常、10図から図11の特性に行き着くための調整回数は少なくとも5回程度は行います。多い場合は10回以上にもなります。
・ それが今回はなんと3回の設定変更で図11の特性にすることが出来ました。改めてシステムの基本性能(特性)の良さを実感した次第です。
[ CD再生以外は不要と語るTS氏が時間を掛けて構築された入魂のシステム ]
・ 毎年のお正月に真空管を抜いて足を清掃するというTS氏。
・ CDに入っている音(情報)を100%再現するために構築された氏のシステムにはプラシーボ的な要素や贅肉とは無縁な世界を感じます。
・ 3度目のリモートによるDEQX調整でしたが、基本を押さえたシステム構築の重要性を改めて感じた今回でした。
文責:クリズラボ・栗原