■ 10周年記念メッセージ(埼玉のTY氏)

 
クリズラボ、創業10周年おめでとうございます。3年前にDEQXを導入した埼玉のTYです。

結論としては、オーディオライフが大きく発展し楽しみも大幅に増えてしかも無駄な出費が抑えられるという素晴らしい効果が得られております。

感謝を込めてDEQXを導入して気付いたことや近況をお伝えいたします。

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導入前の1〜2年間は、スピーカーを5mm単位で動かしたり、ウーハーボックスの吸音材を増やしたり減らしたり、自作したチャンネルデバイダーのパラメータや素子を変えたりしていました。

また、高価なものではありませんが電源ケーブルを変えたり、血迷って怪しいアクセサリーを買ってみたりもしていました。

そのうちに高級なオーディオ機器もネットオークションを利用するとミニコンポの減価償却と同程度の出費で買い替えができることに気付き買い替えも割と頻繁にしていました。

極めて怪しいアクセサリーは別ですがオーディオは弄れば音が何かしら変化しますので一喜一憂しながら楽しんで・・いや苦しんでいました。

しかし、物理的な因果関係が曖昧なアプローチが増えてくると楽しみより苦痛の方が増してきます。

一方で部屋の特性の悪さ(影響)は理解できるのですが一般市民にとっては最も対策が困難な部分でもあり、対策を施しても成功する保証はどこにもありません。このような状況に限界を感じてクリズラボに救助を求めました。

DEQXは一部のスーパーマニア?が使っているとは言ってもオーディオ雑誌を賑わすようなメジャーな製品とまでは言えません(栗原さん、ゴメンナサイ)。

システムの大幅な変更にもなりますので失敗もあり得ます。導入には勇気が必要でした。しかし、導入して栗原さんがチョチョイと調整をすると未体験の定位感と全域に過不足ない音が現れ、今までの音を簡単に超えてしまいました。

調整当日の試聴で不満は全く感じませんでしたが本当の凄さを感じたのはその数日後です。あらゆるCD、LP、ハイレゾ音源に対して再生システムの「不得意感」を感じなくなったのです。

それまでは録音が悪く聴いていられないと思っていたソースにも音楽がきちんと録音されていることに気づかされました。そして、すべてが楽しめるようになりました。

以前のシステムでも得意な音源であれば満足の行く音を出すこともありましたが、不得意な音源はあまり楽しめませんでした。

とは言っても、昔使っていたバックロードホーンのスピーカーシステムに比べれば不得意感はずっと少なくはなってはいました。

音源はオーディオ装置がなければ音にはなりません。しかしソースに記録された本当の音を知ることは不可能です。どんな場合でも再生プロセスを通した音を聞いているからです。

音源から生のような音がした時それは音源固有のものなのかオーディオ装置の癖がたまたま生っぽい音に再生したのかは判定は出来ません。

得意な音源に限って素晴らしい音がするオーディオ装置はこうした癖が良い方向に作用したと考えられます。

つまり、限られた音源に特化するのであれば癖を積極的に生かすのもありだと思います。(装置は一千万円、CDは20枚という方もたまには・・・)

逆にこの癖が悪い方向に作用すると聴いていられなくなります。そのため音源ごとに異なる癖のオーディオ装置を使うという贅沢なマニアもいらっしゃるようです。ただし、この場合でも都合のよい癖以外を抑え込む必要がありますので高いスキルが必要だと思います。

しかし、ほとんどのオーディオ装置には意図しない癖が存在し、それが知らぬ間に全体の音質に悪さをしている気がします。

とすれば再生装置は癖のメリットを語る以前の問題がありそうです。

一方で癖の少ないオーディオ装置は特定の音源にお世辞を言う(笑)ことはしませんが、足を引っ張る要素が少ないので平均点がグッと高くなります。

数枚のCDを聞いて良いなと感じるオーディオ装置には時々遭遇しますが、何枚も何枚も聴いて全てが気持ち良いというのはなかなか体験できません。

こうした経験を通して解ってきたのは「正確な音を出す」再生装置が必要なのではということです。

クリズラボの主張である「プログラムソースを解き放つ」の意味が理解できた気がしています。

つまり、良く言われる「原音再生」というだけではちょっと言葉足らずではないかと思っているところです。

ただしDEQXを使っていても長期間聴いていると少々の不満が出てきます。「まだ正確さが足りないかも」と不安になりDEQXの調整を繰り返すことになります。

DEQXはクリズラボによる数時間の設定・調整で最終目標の90%程度は簡単に到達します。(数値は個人的尺度ですが・・)

もしDEQXなしで紆余曲折をしながら調整する場合は何年も何年もかけて90%に近づけることができればラッキーだと言えるでしょう。

私は何年もかけて80%くらいにはしたつもりでしたがDEQXはそれを瞬時に越していきました。

しかしその先の95%を目指そうとするとDEQXを使っていても再び格闘が要求されます。

ただし90%を超えてからの一喜一憂はそれまでと異なり、苦しみが緩和されて改善を楽しめる余裕すら出てきます。

私の場合は僅かでも不満が出てくると理屈で考えられる範囲内でオーディオ装置に微調整を加え、DEQXで再設定をします。

DEQXの基本的な調整で取り敢えず90%以上を目指し、その後Room補正用のパラメトリックイコライザ(PEQ)をチョコチョコ>弄り続けます。

もし脈がなければ改めて測定と設定をしますが、弄り続けて終盤になると1個のPEQを±0.2dB程度変化させては様子を見るといった感じになります。こうした過程を1〜2か月続けると面白いことに自然に収束してきます。

もし途中でどうにもならなくなったら再設定するかDEQXに元のデータを戻せばよいだけなので気楽に実施できますが、結果として無駄だった場合には多少の後悔が残ります。もちろんこれも貴重な体験の一つではあります。
ちなみに今は最終調整から既に半年以上も固定されていますので上々の出来だと言えます。

こうして、「正確な再生」の度合いが上がってくると今度は矛盾するようですが、特定のソースがより気持ちよく聴けるような”癖”が欲しくなって来ます。

使用中のD3004とTW47 お休み中のJA0506IIと2402H

<使用中のD3004とTW47> <お休み中のJA0506IIと2402H>

私の場合はこうしたちょっとした癖を求めてツイータを時々交換して楽しんでいます。

ミッドレンジはヤマハのJA-0801というドーム型ユニットで、これがシステムの心臓部となっていますので不変です。

ウーハーはフォステクスのW300AII です。出来れば他のユニットも試してみたいのですが30cmクラスでは他に魅力的なユニットが見当たりません。

また、ユニットに合わせてボックスを作り直す気力までは沸いてこないこともあり、長期間固定となっています。
(お金もありませんが)

栗原さんにセットアップして頂いた際のツイータはR2904/700000 (ScanSpeak)でしたが、その後PT-R7III (Pioneer)JA-0506II (YAMAHA)、D3004/664000(ScanSpeak)、TW47 (Pyramid car audio)、2402H (JBL)などを試してみました。

普通ですとネットワークの変更やユニットの位置を何度も調整してかなりの時間をかけないと正しい評価ができません。

ところがDEQXを使えばユニットを交換して2時間後にはシステムとしての完成度が90%くらいまで上がるのでそのまま試聴できます。

個性を生かすにも、まずは癖を取り去り正確なシステムに近づけてから「美味しい癖」のみを復活させる方がはるかに簡単です。

フラットな周波数特性では音楽は聴けないという方もいますが、変な話、フラットにも色々あると思っています。

「艶のような個性」と言った話になるとグラフでは判断できないような細かな違いが効いて来ます。

こうした事もあり、基本はフラットで、そこをスタート地点として調整をすると無駄な苦しみや時間を労することなく楽しむことが出来ます。

こうした中で、PT-R7IIIはこのシステムにはどうにも繋がらず直ぐに諦めてヤフオク行となりましたが、結果は次へのユニット資金調達ができました。

JA-0506IIは線が細く、ミッドユニットとのキャラクタがマッチしませんが音楽が結構楽しめますので手元に置いてあります。いざという場合のバックアップとしては十分使えます。

D3004/664000は万能で正確な再生に最も近いと感じられますので使い続けることになりそうです。

TW47はAmazonで$22.9(2,500円程度)と超安価だったので購入しましたが、これが結構いけます。

DEQXで何度も調整した結果、ユニットの嫌な癖も殆どなくなりスネアドラムの「ダッ、ア〜ン(上手く表現できません・・・)」というアタック感とともに重みと余韻が適度に強調されて気持ち良いです。

JAZZ用としてD3004/664000と切り替えて使っています。

このTW47に気をよくして2402Hも試してみましたが予想に反してかなりソフトな感じでした。シンバルの金属臭さは出るのですが個性を全開にすると全部がその音になってしまいます。

DEQXでの補正で正確な方向には向かうのですが個性が薄れてしまいます。

個性と癖の出し方のバランスが難しいところですがさじ加減によっては使える期待もあり、もう一度挑戦してみたいユニットです。

最後になりましたが、DEQXは良い音を出すためのオーディオ機器としてだけでなくユーザーのやりたいことを強力にサポートしてくれるツールでもあります。

再生システムの高音質化へのアプローチが以前とはかなり変わりましたが自由なユニット選びといった新たな楽しみを与えてくれた感じです。

本当に良い(面白い)製品を提案して頂き、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。


埼玉のTYより


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