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RJ45コネクタのLED表示とケーブル接続
2025-08-v1.0
出展/出所/文責 : Kurizz-Labo
Ethernet用RJ45コネクタのLED表示の意味とケーブル接続についての調査


■ はじめに
 Qobuz(コバズ:高音質音楽ストリーミングサービス)を聴くためのネット環境について調べてみました。

1.Qobuz公式の推奨環境は以下の通りです

音質モード フォーマット 推奨最低帯域幅
 MP3:320 kbps  MP3:320 kbps  0.5 Mbps
 CD品質  FLAC:16bit/44.1kHz  5 Mbps
 ハイレゾ(Hi-Res)  FLAC:24bit/96kHz  10 Mbps
ハイレゾ最高(Hi-Res)  FLAC:24bit/192kHz  15 Mbps

2.実使用上の推奨
  上記はあくまで理論的な最低値なので実際には、

 ・CD品質ストリーミング → 10 Mbps 以上
 ・ハイレゾ(24/96kHz~192kHz) → 20 Mbps 以上(安定マージン含む)
  を確保しておくと下記のような影響を防げます。

 ・バッファ不足によるプチ切れ・ノイズ
 ・Wi-Fi環境の変動による瞬断
 ・バックグラウンド更新など、他のトラフィックの影響

3.その他の注意点

 ・速度と安定性(jitter, packet loss等)が重要 →  有線LAN接続が望ましい
 ・Wi-Fiの場合は干渉が少ない5GHz帯を推奨(伝搬距離や障害物に注意)

4.結論:クリズラボの推奨値(使用条件と推奨速度:実効値)

 ・CD品質の再生のみ → 10 Mbps 以上
 ・Hi-Res(24/192kHz)をメインに使用 → 20 Mbps 以上
 ・複数デバイスでの同時ストリーミング → 30 Mbps 以上

5.実際のネットスピードの例(時間帯による変動が大きく、あくまでも一例です)
  測定は下記のサイトで実施しました。

A) 通信速度測定システム(株式会社 Studio Radish) → こちら
B) Internet speed test(google) → こちら

  [図1]Studio RadishとGoogleの例-1 [図2]Studio RadishとGoogleの例-2

 結果は計測ツールで異なるものの最低でも200Mbps程度が確保でき「複数デバイスでの同時ストリーミング」も全く問題なく再生できています。

 ・ネットで音楽を聴く場合の安心材料として一度確認してみては如何でしょうか

■ EthernetとRJ45コネクタのLED表示について
1.ストリーミングサービス「Qobuz」の高音質を享受できる環境を整える

イーサネットとRJ45コネクタの規格について

 ・イーサネットの通信仕様や電気的規格はIEEE 802.3で厳密に定められています。
 ・しかし、RJ45のLED表示(位置や表示色の内容)についての規格はありません。

 一般的には、

 ・ Link/Activity表示用LED(リンク確立通信中点滅)
 ・ Speed表示用LED(接続速度表示、色で区分け)
  などの二灯構成が多くなっています。

 代表的な例としては、

LEDの位置 表示内容 色と挙動の例
左側  Link/Activity  緑点灯 =リンク確立、点滅=通信中
右側  Speed  消灯=10Mbps、 =100Mbps、 =1Gbps

 などがあります。
 参考までにオラクル (Oracle) 社のサイトには下記の説明がありました。

LEDの位置 状態の意味
左側  緑色  点灯 – 点灯:リンク/点滅:アクティビティ
右側  緑色  点灯 – 最高速度で確立されたリンク
 橙色  点 灯– 次に高速またはより遅い速度のリンク
 なし(消灯)  消灯 – 一番遅い速度(10Mbps)でのリンク

 また、インテル社のNUC(Next Unit of Computing)の説明では、

LEDの位置 状態の意味
右側  消灯  接続なしか、リンクが確立されていない状態
 緑点灯  リンクが確立している状態
 緑点滅  データの送受信が行われている状態
左側  消灯  10Mbpsの速度で接続されている状態
 緑点灯  100Mbpsの速度で接続されている状態
 橙点灯  1000Mbpsの速度で接続されている状態

 との記載があります。

 このように、LEDの配置や表示内容はメーカーによって全く異なる事が判ります。
 このため、表示の意味については個々に製造元の説明を確認する必要があります。

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 以上を踏まえた上で改めて手元のRoonサーバーのLED表示を確認してみました。

 
[写真1]サーバー導入時からの表示      [写真2]別の回線でテストすると・・・

 2018年に導入したRoonサーバー(初代Nucleus)ですが、改めてコネクタのLED表示を確認すると左右とも緑色でした(写真1)。
 そして、右側のLEDは点滅するので前述の「Link/Activity表示用」だと判ります。
 とすれば左側がスピード表示用ですが、これも緑色に点灯しています。

 オラクル社の説明ではスピード表示が緑色の場合「最高速で確立されたリンク」に該当するので一安心ですが念のためPre-8用に整備した別の回線をつなぐと、なんと左側のLEDが橙色に変わりました。(写真2)

 接続した二つのネット回線はいずれも地下にある一台のスイッチングハブから来ているので表示が異なる原因はハブ以降のケーブルかRJ45コネクタへの配線ミスが考えられます。

 Roonサーバー用も含めて我が家の基幹となるEthernet回線は20年ほど前にDIY精神を発揮して大元の光回線の端末機から必要な箇所にケーブルを布線し、専用工具でRJ45コネクタを取り付ける工事を行いました。

 もしかしてこのとき・・・(

 遅まきながら今回の状況を踏まえ、改めてケーブルとコネクタの結線を確認してみました。

■ EthernetケーブルとRJ45コネクタの接続
 家庭内のLAN(Local Area Network)接続には有線(Ethernet)と無線(Wi-Fi)があります。

 2階の光端末に近接して設置したWi-Fiステーション(WSR-3000AX4P-BK)の電波を1階の風呂場(直線距離で5~6m)で利用するとスマホ(iPhone16/Plus)のWi-Fiマークが2本以下となり、通信速度も半減してしまいます。

 Wi-Fiの電波は極めて微弱なため、一台のWi-Fiステーションで家庭内の全ての通信を安定的にカバーすることは極めて困難です。
※「免許を必要としない無線局」の出力上限が2010年に10mWから1000mWへと
引き上げられましたが無線LANルーターには適応されず弱いままとなっています。

 スマホなどと異なり機器を固定して使うことが多い音楽再生用サーバーなどはスピードと安定性の両面から有線接続で使用することを強くお勧めします。

 その有線接続のためのEthernetについてここで改めて整理しておきましょう。

Ethernet用ケーブルについて

 「Ethernet」の規格は初期(1970~80年)段階では10Mbps程度のスピードを対象とした10BASE-Tが標準規格でした。

 現在では100Mbpsの規格(100BASE-TX)を経て1000Mbps(1Gbps)のスピードに対応した規格(1000BASE-T)が標準となっています。

 より高速な10Gbpsや100Gbpsに対応した規格もありますが、家庭用としては安定して1Gbps(実質で100~300Mbps程度)が確保できれば十分だと考えます。

 これらの規格に対応したケーブルは次のようになります。

 ・CAT5e:最大1Gbpsの速度と、100MHzの伝送帯域をサポート
 ・CAT6:最大1Gbpsの速度と、250MHzの伝送帯域をサポート
 ・CAT6A:最大10Gbpsの速度と、500MHzの伝送帯域をサポート(家庭用)
 ・CAT7:最大10Gbpsの速度と、600MHzの伝送帯域をサポート(家庭用・高速)
 ・CAT8:最大40Gbpsの速度と、2000MHzの伝送帯域をサポート(主に業務用)
※「CAT」は「Categories:カテゴリ(種類)」の略で基本的にはネット環境に
  合わせます。上位互換があるのでより高速なカテゴリーのものでもOKです。

Ethernetの規格とケーブル(芯線)の使い方は以下の通りです。

規格 使用ペア数 未使用ペアの有無 備考
10BASE-T  2 ペア  あり( 2 ペア未使用)  古い規格
100BASE-TX  2 ペア  あり( 2 ペア未使用)  Fast Ethernet
1000BASE-T  4 ペア  なし(全ペア使用)  Gigabit Ethernet
PoE (10/100BASE-TX)  2 ペア+電源用2ペア  なし  Alternative B 方式
PoE (1000BASE-T)  4 ペア兼用  なし  Alternative A 方式

 ・ケーブルとRJ45コネクタの関係

  [写真3]4芯のケーブルとRJ45コネクタ [写真4]4ペア-8芯のケーブル

 左は大昔に使用していた2ペア(4芯)のケーブルです。(参考)

 2004年に「1Gbpsの光回線(Bフレッツ光)」を入れた時点で[写真4]の4ペア、8芯のケーブル(CAT5e)で屋内配線を行いました。

 このEthernetケーブルはRJ45コネクタ(元々電話回線に使われていたコネクタ)を利用して機器に接続します。

 RJ45は電話回線に多用されるため、安くて信頼性が高く現地で簡単に接続できることなどが求められます。

 このためケーブルとコネクタは半田付けなどはせず、専用の工具を使って圧着という仕組みで接続します。

  [写真5]ケーブルとRJ45コネクタ [写真6]専用の圧着工具



  [写真7]圧着中のケーブルとコネクタ [写真8]コネクタと接続する2種類の方法

 EthernetケーブルとRJ45コネクタの接続をまとめると以下のようになります

 接続方法には二種類あり、異機種間をつなぐ「ストレート接続」と、同機種、例えばパソコン同士を接続する「クロス接続」のケーブルがあります。

  [写真7]通常使用されるストレート接続 [写真8]PC-PC接続などで使用するクロス

※重要
 2000年頃からケーブルの状態(ストレートとクロスなど)を自動的に判別して適切な接続に自動的に切り替える「Auto-MDI/MDI-X」機能が搭載され始めました。

 これにより、 一部の配線を間違えても通信が成立して「一見」正常に動作しているように見える場合がありますが、本来のスピードが出ていない事もあり、注意が必要です。

 ★ Ethernetケーブルのチェッカー(下) が1,000円程度で手に入ります。


[動画]Ethernetケーブルのチェッカー
 20年前にこれがあれば・・・・

大失敗の結末

 RoonサーバーのLAN回線を変更するとSpeed表示用LEDの色が変わる・・???

 Roonサーバー(Nuclear)の中身はインテルのNUCです。

 NUCの説明書には橙色に点灯したときが1Gbpsとあります。

 ★ サーバーの導入時に製作した回線のコネクタ接続が間違っていた

  [写真9]8芯ケーブルの4対ペア構成 [写真10]実はこの配列で接続した!!

 7年前のミスを今更発見するとは・・・

 [写真8]のT568B接続が正解。単純な勘違いと片付けることに・・・(グスン

[写真 11]左のLEDが橙色で1Gbps、右のLEDが緑色で正常なリンク状態を表示

 7年ぶりに「100BASE-TX」接続が本来の「1000BASE-T」接続になりました。

 結果としてRoonサーバーからの再生音が変化することはありませんでした。

 今回の調査でEthernetの世界が少しだけ理解できたことは嬉しい収穫でした。

 時間があればRJ45のLEDで通信状態を確認してみるのも一興かもしれません。

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