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DEQX軽井沢試聴室 Photo 音楽と珈琲で一時を!

User's Report
No. ユーザー 導入機器とシステムの特長 掲載時期
133 佐賀県 MO様 サポートプログラムでシステムの再確認とリフレッシュ作戦 2025年1月
[ MO氏のシステム(現在):クリックで初回調整時(2018年)のシステムへ ]


■ サポートプログラムのDEQX再設定を利用してみました

昨年末はありがとうございました。

サポートプログラムに入会したのを契機にリモートでのDEQX調整をお願いし、昨年末の12月に念願の調整を実施していただきました。

今回の当初の目的は以下のようなものでした。

2018年にDEQXを購入して丸6年が経過します。

その間、音楽三昧の生活を送ってきましたが最近になって左右のスコーカーが立て続けに故障しました。

完成版のスピーカーシステムで特定のユニット(スコーカー)だけが左右続けて故障するとは思いませんでしたのでショックでした。

まず最初に右側のスコーカーが故障。

交換用のユニットを4万円で手に入れましたが左側との稼働時間の差が音に影響しないか気になっていました。

そんな中で、なんと半年後に今度は左側のスコーカーが故障したのです。

信じられない思いですが、一つの部品としての寿命を迎えたと言うことかもしれません。

メーカーに連絡するとこの半年間で値段が上がり、今度は4万5千円を請求されました。

続けて壊れると知っていれば左右同時に交換して安く済んだのに・・・と後悔。

左右ともユニットを交換しましたがスピーカーシステムとしては10年以上が経過する中でスコーカーだけが新品に・・・

また、そのスコーカー自体も交換時期が左右で半年ずれています。

そして、スピーカーと部屋の補正をしてくれるDEQXの初回調整は6年前で設定値は現在もそのまま。

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総合的に考えても再生システムとしてこれで大丈夫なのか、もやもやした気分が長期間拭えませんでした。

そんな中、クリズラボによるサポートプログラム開始の知らせを受け取り、その中でDEQX調整が年に一回無料で受けられる事を知りました。

これだ!と思い、すぐにプログラムに加入しました。

実施時期が少々遅くはなりましたが年末の12月に思い切って調整を依頼すると2週間くらい先の日程をいただきました。

その間にDEQXの調整マニュアルを再読したり、マイクスタンドの設置方法やリモートでの調整に使用するソフトの設定等を準備しました。

準備はできたもののDEQXの調整マニュアルをいくら読んでも正直不安でした。

とりあえずパソコンとDEQXをつないでテスト信号を再生し、調整用ソフトの画面が正常に動作することが確認できたので何とかなるかなと思いながら当日を迎えたのが実態です。

遠隔地からパソコンをリモートで操作されることは現役時代に経験済みだったので不安はありませんでした。

スマホ経由で指示を受けながらマイクを設置し、その後はリモコンで調整中のパソコン画面を見守りました。

スピーカーの測定を終えたところで5年前のデーターと比較。僅かな違いはあるものの実用上問題なしとの判断を戴きました。

その後、栗原さんから「スピーカー測定が終わったので時間があれば聴取位置にマイクを移動して貰い、ルーム補正もやりましょう」という提案を戴きました。

既に測定したスピーカーのデーターを使って補正(Calbrate Speakers)を実施、次にシステムの設定(Configure)へと進められました。

その後、聴取位置に置いたマイクで部屋の影響を調べる「Measure Room」が行なわれ、数回に亘るRoom-EQの調整で新しいカーブが完成しました。

これで当初の予定にはなかったDEQXのフル調整までが完了しました。

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早速、聴き慣れた曲を次々に試聴しました。

DEQXを導入する前後の変化は誰にでもわかりますが、今回は更にその音がとてもすっきりして、ピントが合った感じです。

DEQXを知らなければそれなりに満足して聴いていることと思いますが、DEQXを入れてきちんと調整した後の音には大きな違いがあります。

高価な再生機器やケーブルなどを次々に購入しては音の変化がどうのこうのと言っている人に教えてあげたいです。

音が良くならないのはアンプやプレーヤーのせいではなく、部屋などの影響によって本来の性能が十分に発揮されていないことが原因なのですよ・・・と。

佐賀県 MO



[ オーディオルーム全景(2018年12月当時) ]
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■ ユーザープログラムによるDEQX調整を終えて

佐賀県のMO氏から「ユニットが故障して交換したので特性を確認したい」との連絡を受け、スケジュール調整をさせて戴きました。

ユーザープログラムの中にDEQX調整を無料で実施するサービスがあります。
※ 年に一回、リモートでの実施が基本
DEQXの初回調整以降に再生機器やスピーカーの位置を変更したり室内で音に影響を与えるような変化(大型の家具を入れた、絨毯を敷いた、等)があった場合などに手軽に受けて戴きたいサービスです。

クリズラボはDEQXを導入された方の初回調整(2007年から実施)時の設定データーを保管しています。

MO氏の場合は2018年の12月に初回調整を実施しましたのでこの時のデーターと今回のユニットを交換した後のデーターを比較することで特性の変化がデーターとして比較、検証することができます。

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リモートによるDEQX調整についてはこちらのページをご覧下さい。
※ リモート用のソフトを今回から「Chrome版」に変更しました(図は後日訂正予定)
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■ リモート調整の結果

MO氏の初回調整では現地に出向いた私とMO氏の二人で力を合わせてスピーカーを部屋の中央に移動し、壁の反射を減らす工夫を行いました。(下の写真)

 
[ 初回調整時はスピーカーを移動して測定 ]

しかし、今回はユニット交換による音への影響を調査するのが目的であることと、お一人でスピーカーを移動して頂くのも大変なので移動せずに測定しました。

結果は下図のように初回調整時よりも400Hz以下で壁の反射が強く表れています。

 
[ スコーカーユニットの交換前後のスピーカーシステムの周波数特性 ]

しかし、目的のスコーカーユニットが受持つ帯域(400Hz~4kHz)ではその影響は僅かなため問題はありません。

その帯域内の3.5kHzに生じている小さなディップも完全に相似形であり新旧ユニットの特性の差は極めて少ないと言えます。

信頼性が高いSONYの補修用部品(ユニット)でもあり、実際の周波数特性でも大きな差がないことから新旧のユニットによる音質上の問題はないと判定しました。

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ここまでで今回の目的は達成出来ましたが初回調整から6年が経過しているため、「もしお時間があれば総合的なチェックをしませんか」と提案したところ「ぜひ」との事。

マイクをリスニングポジションに移動して頂きながら私は測定結果を基にスピーカーを補正するフィルターを作る工程(Calibrate Speakers)に進みました。

始めに測定データーから反射音を取り除く作業で、その結果を下図に示します。

 
[ スピーカーの測定結果から反射音を除くための処理 ]

具体的には顕著に現れる初期反射の直前に分離用のカーソル(緑色の線)を移動してユニットからの直接音成分だけを取りだす作業となります。

右図が今回で壁などによる反射音(緑カーソルの右側)は初回調整時に比べて顕著に増加していますが使わない領域なので全く影響はありません。

必要な直接音のデーターは前回が「8.74ms/2.89m」、今回が「8.70ms/2.88m」と、その差は極めて小さなものとなりました。

結果としてスピーカーを移動しない今回も十分な測定精度が得られたことになりますが、これは定常の位置でも壁からの距離が十分に確保されている理想的な環境が幸いした結果です。

一般的には完全に調整する場合、スピーカーを部屋の中央付近に移動して測定するのが理想であることは間違いありません。

ちなみに下図は直接音成分による周波数特性ですが、右図では低域の特性が左右で大きく異なっていることが判ります。

 
[ 反射音を除いた直接音成分による周波数特性 ]

こうして完成した特性補正フィルターをパソコンからDEQXに転送(セーブ)するとスピーカーの補正が実効されますので続いて部屋の影響を取り除くRoom補正を実施すると完成です。

既にマイクがリスニングポジションに設置されているので早速「Measure Room」の工程に入ります。

ここでは、DEQXによって理想的に補正されたスピーカーから測定信号を再生し、これをリスニングポジションのマイクで計測することで部屋の影響が判ります。

 
[ 左は一回目の測定(補正なし)の測定結果、右は1回目の補正を行った後の特性 ]

左のルーム補正なしでは部屋の影響が強く現れていることが判ります。

これをベースに補正をした結果が右図で、全体のバランスは改善されていますがこれではまだまだかなり個性的な音になってしまいます。

更に、二回目の補正を行った結果が下図の右側で、理想的な特性になっていることが判ります。

 
[ 初回調整時と今回のリスニングポジションにおける最終的な再生周波数特性 ]

左側は初回調整時の最終特性ですが、今見ると全体として僅かに右下がりのバランスとなっていることが判ります。

これに対して今回(右側)は全帯域でのフラットネスが顕著に改善されていることが判ります。参考までに初回時の特性を重ねてありますので図をクリックしてご覧下さい。

両者の差は最大でも2~3dBと僅かなものですが、広い帯域で差があると再生音としては別のシステムかと思うほど違ってきます。

今回の「音」についてMO氏が述べられた言葉にそれが凝縮されています。

「今回は更にその音がとてもすっきりして、ピントが合った感じです。」

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今回のリモート調整は90分ほどで完了しましたが、事前の準備と当日への不安についてMO氏が話されていることは今後の課題として受け止め、4月開講予定のDEQX調整セミナーなどを通じて改善していきたいと思います。


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