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User's Report
No. ユーザー DEQXの導入機種とシステムの特長 掲載時期
117 東京都 AW氏 HDP-4 / 実は2年前、20年ぶりにオーディオを再開しました 2020年11月

[ SANSUI/JBL EC-10 エンクロージャを中心に組み上げた3Way-DIYスピーカーシステム ]


[ HDP-4を中心に、DEQX社とクリズラボ製アンプ、6ch-AATで構成したAW氏のシステム ]

■ 感 想 文(SF氏)

栗原さん、DEQXの設定ありがとうございました。

今、仕事をしつつ次々と色々な曲を聴き続けております。

現在のところ不満はありません。

昨日までは低域不足と不自然な中高域のために長時間は辛い音でした。

本日のリモート設定により低域から高域までスムーズで非常に心地よい音に仕上げて頂けたと思います。

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一昨年、オーディオの趣味を約20年ぶりに再開。

初めてのPCオーディオやマルチアンプシステムの構築をしているところです。

趣味を再開した早い時期に軽井沢のクリズラボ試聴室を訪問しました。

その結果、早期に泥沼からの脱出ができるのでは!という手応えを感じつつ、まずは自己流でDEQXの設定をしてきました。

早期脱出戦略として、DEQXはもちろん、パワーアンプやアッテネータを DEQX製とKurizz-Labo製で揃えました。

これで何かあれば栗原さんにお願いできますので何の不安もありません。(笑)

問題はスピーカー周りです。

20年以上前に調達した中古ユニットに不具合があったりで紆余曲折し、何とか今の構成に落ち着いたのが1ヶ月前のことです。

その間、自己流で出来る範囲のDEQX設定はやり尽くした感があり、栗原さんに登場して頂く機は熟した状況でした。

コロナ禍もあり、DEXQ HDP-4 の購入後すでに1年経ってしまいましたが、構成がほぼ固まったため、今回思い切ってリモートでの設定をお願いした次第です。


[ TAD:TD-4001+Wood Horn / CORAL:H-100で構成された中高域ユニット群 ]

リモート設定の前夜は部屋の片付けや、反射の大きそうな部分に毛布やクッションを置くなどの準備をしました。

また、前日にお送りした直近の設定ファイルの分析から、当日、DEQXのGain設定のジャンパー位置を変更する可能性があるとのことで、カバーのネジを外し、工具やライト、ハ○キルーペの準備なども行いました。

実はその後、深夜になってから思い立ち、ウーファーの吸音材の再調整をしたため、当日はかなりの寝不足で臨みました。

設定は午前9時にスタートして11時には完了。丁度2時間でした。

9時少し前、Skypeの応答がないとの連絡が入り、冷や汗をかきましたが、即座に iPad どうしの FaceTime に切り替えていただき事なきを得ました。

小生の設定作業用PCはMacBook Pro(Mac OS 10.13 High Sierra)です。


[ MacBook Proを軽井沢からリモートしてDEQX調整 / 左のSPは今回不使用のSub-Woofer ]

仮想マシンソフトのVMware Fusion上で動作するWindows 10 Pro 64bitでDEQX設定ソフトを特に問題なく使用しています。

FaceTime のおかげでお互いの顔や部屋の様子が見え、とてもスムーズなコミュニケーションのなかで作業が進みました。

私はTeamViewerを介して行われるDEQXの設定作業を注視していました。

栗原さんの解説が付いたスムーズでクイックな操作により測定結果を確認しながら即座に方針を決定されていく「匠の技」を見せて頂き、大変勉強になりました。

ルーム測定ではCalibrationソフトによる推奨EQ設定を全て拒否!して、手動で設定を変更しながらEQ込みのルーム測定を繰り返し、設定値を最適化して行きます。

最終的には非常にフラットな特性を実現されるテクニックは本当にお見事としか言いようがありません。

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しばらくは今日の設定で音楽を楽しんでいこうと思いますが、家族もさっそく音の変化に気付いたようです。

今後の課題はご指摘をいただいたウーファーユニットとエンクロージャーのミスマッチによる低域のだら下がりについて、DEQXの補正量が少なくて済むようにすることです。

軽井沢の試聴室で体験したクリアなのにズシンと腹に響く低音を、いつか是非とも拙宅でも実現したいと思う次第です。

・・・そうなると、KZ式ウーファーBOX がとても気になるところですが。

そして、部屋の片側を占めるグランドピアノの影響の低減だと考えています。


[ グランドピアノがシステムの右側に同居しており、若干の音響的な影響が感じられる ]

全ての課題が一段落し、コロナ禍が落ち着いた頃、改めて現地での調整が実現する事を祈念しております。

その時は栗原さんお手製のパワーアンプ達がお出迎えすることでしょう。

ありがとうございました。

東京都 A.W.より

■ DEQX調整を実施して(Kurizz-Labo)

初回調整をリモートで実施する前日、氏が行った最新の設定データーを送って頂きました。

ルーム補正の前段まで、マニュアルに沿って正しく順調に調整されていることが見て取れる素晴らしいデーターです。

しかし、その中に気になるデーターが二つほどありました。

一つはウーファーシステムの再生特性です。


[図1] SANSUI/JBL EC-10 エンクロージャ(密閉)+ALE WA-4000の再生周波数特性


[図2] KZ式密閉ウーファーBOX+TL-1601aの再生周波数特性

[図1] では ウーファーが受け持つ重要な帯域(30〜500Hz程度)内で200Hz以下が急激に低下しています。

箱(EC-10)の内容積は222gでJBLの38pユニットが想定されています。

この箱に強力なマグネットと軽量コーンの代表格であるWA-4000を入れるとfo(低域共振)が上昇し、オーバーダンプの状態になると想像されます。

また、調整前夜にBOX内の吸音材を再調整されたとの記述があります。

下の図はこの吸音材の調整前後を比較したものです。


[図3] 吸音材の再調整による周波数特性の変化(青:調整前、赤:再調整後)

50Hz付近の音圧が上昇し、50Hzにあったディップが75Hzに移動。200Hz付近はかなり低下しています。

どのように変更をされたかは知りませんが、結果の良否判定は微妙です。(笑)

解決策としては箱とユニットの相性(組合せ)を変更する方法があります。

しかし、このように吸音材による変化を目で確認できることは極めて重要な改善への手がかりになると思います。

DIYに役立つ確かな音響測定器としてDEQXをご利用いただければ幸いです。

今回の調整ではウーファー領域の特性をDEQXの補正で乗り切りました。

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気になるもう一つのデーターはユニット間のレベル差です。


[図4] 事前に戴いたスピーカー測定のデーター

400Hzと7kHz付近にクロスオーバーを設定した場合、ウーファーよりもMidとHighの再生レベルが低くなっています。


[図5] DEQX内部でGain調整を行った後の測定データー

L2/R2(Mid-ch)とL3/R3(High-ch)のゲインを5dBアップして頂きました

この結果、ウーファー(Low-ch)に対してMidとHigh-chが若干高くなります。

DEQXのスピーカー補正ではレベルを上げるよりも下げる方向で動作させる方がが結果的に好結果が得られます

これはデジタル信号にはフルビット以上のレベルが存在しないという原理的な事が関係します。

DEQXは特定の周波数でレベルを上下させる必要があるため、フルビットの設定に余裕を持たせています。

スピーカーやルーム補正などでレベルを調整する場合、上昇方向は基準値より6dB以内が推奨されます。

今回実施したユニット間の微妙なレベル調整は後のステップのための高度な配慮で、省略しても大きな問題にはなりません。

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「自己流で出来る範囲のDEQX設定はやり尽くした」とのお話でしたが、実際に設定されたのはルーム補正の前までとのことでした。

ルーム補正は最大10個のパラメトリックEQを使って行いますが、思い通りの結果を得るにはかなりの慣れが必要なことも確かです。

パラメトリックEQは、中心周波数とゲインと帯域の三要素で構成されます。

基本的には測定結果に対して逆の補正を行い、できるだけフラットな特性に仕上げることになります。

具体的には下図のように測定データーをなぞるようにEQを設定してこれを逆転Inbert)すると図7となり、フラット化されます。


[図6] Room-EQの設定-1(データーをなぞる:日本語マニュアル P.139)


[図7] Room-EQの設定-2(Inbert:逆転する:日本語マニュアル P.137)

注:マニュアルでは低域に生じる部屋の定在波を除去する方法を中心に書かれていますが、クリズラボでは全帯域に渡って実施しています。

最初の補正だけで希望通りになれば良いのですが実際には数回に亘って実施する必要があります。

そして、難しいのが2回目以降の補正(EQ設定)です。

既に設定したEQで得られた特性に対して更に補正するため、前のEQの効果を加味した設定が必要となります。

EQの数をもっと増やして欲しいとのリクエストが多いのも頷けます。

私自身、せめてあと数個のEQがあれば、と思う時が少なくありません。

しかし、DIYには時間という強い味方があります。

10個のEQでトライアンドエラーを繰り返す間に最適値が見つかり、さらにどの帯域の周波数がどのような音質に関係しているかを実感として掴むことが出来ます。

DEQXを手に入れたら思う存分遊んでいただき、より深い音の世界を楽しんでみて下さい。

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[図8]はDEQXによる補正を行わず、チャンネルデバイダーのみで動作させた場合の聴取位置における周波数特性です。


[図8] DEQXの補正機能を使用しない場合の聴取位置における周波数特性

補正はしていないもののユニット間のレベルバランスは整えてあります。

つまり、通常のチャンネルデバイダーを利用してクロスオーバー(600Hz / 7kHz)を設定しマルチアンプシステムとして動作しています。

このままでは明かに低域が不足しています。

これを補うためにウーファーのレベルを上げても図の緑色の特性になるだけで全体としての適切なバランスにはなりません。

ルーム補正前の実測データーから見えてくる音はかなりの低域不足と400Hz付近のピークによるボーカルなどの不自然な膨らみ感。そして1.5kHz前後のピークによるメガホン的なサウンドになるのではと想像されます。


[図9] DEQXのスピーカー補正のみを実施した状態での周波数特性

スピーカーの実測結果から反射音を除き、クロスオーバーを設定して補正範囲を指定すると自動的に補正フィルターが完成します。

補正範囲は反射音が到達するまでのデーター量によって低域側が決まり、高域側はユニットの性能限界にとどめて無理な補正はしません。

今回は250Hzから15kHzまでの範囲設定を行い、この中で自動的に補正フィルターが生成されます。

250Hz〜15kHzの範囲で、周波数特性、位相と群遅延、ステップレスポンスの4項目が補正されたスピーカーとなり、これで再生した信号を聴取位置で測定した結果が上の[図9]です。

上記のの設定範囲内は平坦なはずですが少なからず凸凹で、これが室内の音響特性による影響となります。


[図10] リモート調整で設定した最終段階の周波数特性

10個のEQによる補正を4回修正した結果が上の図となります。

細かな凸凹はあるものの全体としては25Hz〜15kHzまでが平坦になりました。

リモート調整のため私自身が実際に再生音を確認することは出来ません。

経験上、中高域がドーム型の場合は2kHz以上を若干下降させた方が好ましい音質となります。

これに対してホーン型ではほぼ平坦のままで聴感上の好結果が得られています。

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調整前夜にウーファーBOXの吸音材を変更され睡魔の中で調整となったとのこと、申し訳ありません。

現在のところ不満はない!とのことで、胸をなで下ろしています。

ありがとうございました。

栗 原

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