■ ご了解を頂いた方々のシステムと、試聴リポートを掲載させて頂きました.

2015年8月:東京のKK氏/ New HDP-4 導入リポート >
(2015年8月26日掲載)

■ B&W Nautilus 802 と、こだわりの音響空間を追求したKK氏の再生システム。

 
    < 多数の調音パネルで徹底的にチューニングされた室内の様子 >

 
   [図1] B&W-Nautilus 802を鳴らし切るために用意された再生機器群

■ スピーカーはパワーアンプからバイワイヤリング接続で駆動されています。

■ HDP-4はプリアンプ/プロセッサーとしてシステムの中核を担っています。

■ デジタル入力のヘッドフォンアンプはHDP-4のデジタルスルー出力から接続。

■ ポイントを抑えた機器構成はオーディオ歴の深さを感じさせるものです。

-------------------------------------------------------------------------

■ ところで、DEQXの初回設定では必ず調整前の状態で音を聞かせて頂きます。

■ 最初に聞くのはほぼ100%このCD ↓↓↓↓↓↓ の一曲目「Easy to Love」です。

              
          <ROBERTA_GAMBARINI:Easy to Love>

■ 声に違和感がなく中央にきちんと浮かび上がれば装置に大きな問題はありません。

■ 38秒後に入ってくるベースは低域の質感と量感が適切かどうかを教えてくれます。

■ さらに、1分9秒後から鳴り出すドラムは高域の質感や伸びがチェックできます。

■ 1分40秒でピアノが入り、音が出揃ったところで全体の帯域バランスをチェック。

■ 2分40秒からの楽器のみの演奏で音の立ち上がりや粒立ちなどをチェックします。

■ このCDは2004年6月にLAのキャピトルスタジオで録音されたものです。

■ レコーティングエンジニアは「あの」アル・シュミットです。

■ 高品位のシステムチェックにも耐える、名演奏/名録音のCDだと思っています。

■ 今回のDEQX調整ももちろんこのCDの試聴からスタートです。

■ 2分を過ぎたころ、調整の勘所を発見。早速スピーカー測定から開始です。

■ 約4時間の初回調整を終え、一週間後にKK氏からの感想が届きました。



先日はありがとう御座いました。

■ 調整後、時間をかけて聞いています。

■ 耳慣れない音でまだ違和感がありますが、まず感じるのは正しい音に近づいたという印象です。

■ まずは新しい音に耳を慣らすことですが、徐々に理想の音に調整していこうと考えています。

以下にDEQXの感想とチューニングについて思うことを書きます。

■ 3年前にリスニングルームの引越しを行いました。これを良い機会に、音の再構築を始めました。

■ 部屋のチューニングの重要性は理解しているつもりでしたが、これまでほとんど手を付けていませんでした。

■ せっかくの機会なので部屋のチューニングを中心に取り組むことにしました。

■ やってみると音響的なチューニングは確実に効果があり、試行錯誤の繰り返しでコツコツと積み上げてきましたが、進むほどに次の対策が難しくなります。

これからどのようにチューニングを進めるか悩んでいる時に、DEQXの存在を知りました。

DEQXの説明会とセミナーに参加し調整後の音を聞きました。

■ その結果、部屋のチューニングと同様の方向に改善されることを確認しました。

■ 色々と検討しましたが、強力な道具になることを確信し、購入を決めました。

 
    <導入された New HDP-4>       <Aクラス100WのPASS製アンプ>

■ DEQX導入後、しばらくすると新しい音にも慣れてきました。

■ 今では私の理想とする正しい音(録音した状態を再現する音)に一歩(かなり?)近づいたように感じています。

■ DEQXの機能を生かして部屋のチューニングを継続していけば、理想の音に更に、そして確実に近づけるように感じています。

■ 早速ですが、現状でやや違和感がある音を改善するため、スピーカーのセッティングを少々変更してみました。すると、音は良い方向に変化しました。

■ DEQXだけに頼るのではなく部屋のチューニング等を含めた総合的なチューニングの必要性を再確認しました。

■ 各種の音響的なセッティングの変更はDEQXのルーム測定データに目に見える変化として現れます。

■ これまでは自分の耳だけが頼りだったのですが、データとして確認できることはチューニングの大きな助けになります。

DEQXは測定器としても、そして音の調整にも使える非常に便利な道具です。

■ 私にとって、今後の大きな武器になることは間違いないでしょう。

  
  <アナログディスクプレーヤー>      <Phono EQとしてのプリアンプ>

チューニングで苦労するのは、良い音(正しい音)を判断することです。

■ 長年オーディオを趣味としてきましたが、本当に良い音を聞いたことはないように思いますし、未だに自分の判断に自信がありません。

■「好みの音」を見つけるのは比較的簡単ですが、それが「良い音=正しい音」なのかを判断するのは意外に難しいことだと感じています。

■ まずはそれを見極めるための判断基準を持つことが近道だと思います。

■ もちろん、様々な場所で音を聞くことも勉強になりますが、音の印象を長時間記憶するのはとても難しいことです。

■ 私の場合は、部屋からの音響的な影響を受けにくいヘッドフォンで音の確認を行っています。

■ 色々な方法があると思いますが、それそれが工夫して原音の確認方法を見つけることが良い音への一歩だと思います。

部屋のチューニングの基本は振動をなくし雑音を減らすことだと思います。

■ 私の感じでは、振動を抑えすぎると重く響きのない鈍い音になり、逆に抑えないと軽く薄く、拡散する音になります。最適な所を見つける必要があります。

■ 機器やラックの置き方で振動が変化し、部屋の場合と同様な音の変化をします。

■ アンプの置き方で違うアンプになったような音の変化を感じることもあります。

■ 良い音を手に入れるにはかなりの努力を必要とします。

■ チューニングを継続的に実施していかないと成果が出ません。

DEQXはチューニングの出発点のレベルと効率をあげてくれる優れた道具です。

DEQX導入で、ますますオーディオが面白くなってきました。

■ 今後は、少し落ち着いたところで現状のスピーカーをマルチアンプ駆動に変更したいと考えています。

■ 長年使ってきたスピーカーなのでそろそろ交代時期かも知れませんが、その前にどこまで鳴るのかを確認をしたいと思っています。

 
 < 音響パネルを駆使してマンションの一室をオーディオルームに仕上げたKK氏>

若い頃から音楽が大好きで、好きな音楽を出来るだけ良い音で聞きたいと思ったことからオーディオを始めました。

■ しかし、良い音を求めると音だけの追求になりがちです。

■ 目的は「良い音で音楽を聞くこと」であり、これを忘れないようにしています。

■ まだまだ課題山積ですが、システムのことを考えずに音楽を楽しめる時が来ることを願って、今後も必死に取り組んでいきたいと思います。

                              千代田区 KKより



オーディオへの取り組みが良く判る素敵な感想文をありがとうございました。

3年前の引っ越しが室内音響特性改善の出発点だったのですね。

今後はそのお手伝いにDEQXが活躍出来れば大変嬉しいことです。
-----------------------------------------------------------------

ここで、今回の調整で行ったポイントを二つだけご紹介します。

■ 一つは音像定位に関するもの、もう一つは低域の量感に関してです。

■ 最初の試聴でボーカルの定位がやや不安定になる感じを受けました。

■ 見た目では右の壁が反射面、左側は音響ボードで背面は隣室の空間です。

■ しかし、見た目だけで音響特性を推し量ることは出来ません。

■ 調整ポイントを想定しながら早速スピーカーの測定から実施しました。

 
  [図2]スピーカーを測定したデーターから反射音を取り除く工程で発見!

■ R-chのスピーカー測定で至近距離からの反射音が認められます。

■ マイクまでの到達距離が68㎝ということはかなり近傍にある壁が原因です。

■ 試しに右側の壁に厚手の毛布を吊り下げて再び測定してみました。

 
    [図3]壁に厚手の毛布をかざして簡易的に吸音面として測定

■ 先ほどの反射音は見事に消滅しましたが、新たな反射音が出現しています。

■ これは毛布を支える人の身体が原因と思われるため対策をして次に進みます。

■ Point-1:最初に到達する反射音が出来るだけ遅くなるように工夫します。

■ 今回は右側の壁に吸音性のシートを貼ることで定位の安定性も確保出来ました。

■ Point-2:DEQXは左右の壁の音響的な違いを補正する事は出来ません。
(ステレオ再生の原理的な問題であり、音響的な方法で解決する必要があります)

■ 「DEQXだけに頼らず、音響的なチューニングも含めて改善」正にその通りです。

--------------------------------------------------

■ 次はスピーカーと、部屋の形状や容積との関係で起きる低域の量の問題です。

 
  [図4]DEQXによるスピーカー補正は青枠の範囲内で特性を平坦にする

■ 室内の音響特性はこの平坦化されたスピーカーから信号を出して測定します。

■ 今回の例では160Hzから30kHzまで平坦な特性の信号音が出ていることになります。

 
     [図5]スピーカーの補正のみで測定したRoom測定の結果

■ 160Hz以下はスピーカー単体の性能と部屋の音響特性が合成された結果です。

■ 100Hz付近では左右で逆の傾向を持つディップ(10dBほど)が生じています。

■ また50Hz付近では左右共にやや幅の広いピーク(10dB以上)が現れています。

■ これに対して、160Hz以上では大変良好な特性と言えます。

■ この低域特性はどうすればよいのでしょうか。

■ 通常、この帯域の音は極めて大きな音響エネルギーを持っています。

■ このエネルギーを吸音材などの物理的な方法で解消することは極めて困難です。

■ 例えば板状のグラスウールを幅一間の押入れに目一杯吊すなどの対策が必要です。

■ しかし、これで目的の改善効果が出るかは実際にやってみなければ判りません。

■ 上手くいけば理想的な方法なのですがスペースも費用も手間も時間も大変です。

■ そこでDEQXの出番です。

■ 室内測定の結果を元に自動とマニュアルのEQを駆使して特性を改善します。

 
       [図6]当日実施したしたRoom EQの最終特性図

■ Room補正のEQを再生特性に加えて測定したのが下の[図7]です

■ [図5]に[図6]を重ね合わせると[図7]の特性になります。

 
   [図7]初回調整当日のリスニングポイントにおける最終的な再生特性

■ この測定結果から見えてくるのは、超低域(40Hz前後)の盛り上がりと、100Hz~
  1kH前後に向かって僅かに上昇している特性などが気になります。

■ 私は最初に目に見える特性を出来るだけ平坦にする事を心がけています。

■ それは、より良い再生装置の基本が「クセのない音」だと思うからです。

■ Point-3:まずはEQを駆使して全帯域が出来るだけ平坦になるよう調整します。

■ Point-4:1kHz以上の帯域は概ね素直に下降する特性がお薦めです。

■ 調整後の音についてKK氏は「現状でやや違和感がある」と話されています。

■ 常にヘッドフォンで原音の質やバランスを確認されているとのことで、こうした
  僅かなバランスの崩れを「違和感」と感じているのかもしれません。

■「DEQXを利用した音響チューニング」は「より良い音楽をより良い音で」を追求
  されるKK氏にとって強力な助っ人になると確信しています。


                           Kurizz-Labo店主:栗原

 ページTopへ