■ DEQXを導入され、ご了解頂いた方々のシステムと試聴リポートを掲載させて頂きました.
■ また、デモなどでDEQXの音を聴いて頂いた方々の感想をそのまま掲載させて頂きました.



最新情報2013年9月30日:千葉県MM氏のHDP-4導入記

(2013年10月10日掲載)

アバンギャルド(avangarde)のスピーカーシステムにDEQX/HDP-4が入りました。

 

         < 2Way+Sub Wooferシステムで構成した新しいシステム >

 
        < シングルアンプ接続から3Wayへ。HDP-4導入時のシステム提案図 >

■ アバンギャルドのDuo G2をDEQXを使ってマルチで鳴らしたい、というリクエストがありました。

■ 現状はプリメインアンプ1台からバイワイヤリング接続で鳴らしているとこのこと。

■ 取説をお借りしてを調べてみると大変ユニークなSPシステムであることが判りました。

■ なんと、Midレンジのドライバーはパワーアンプ直結で高域(2kHz)はメカニカルフィルターでカット、低域(170Hz)はホーンのカットオフまかせ。ツィーターもアンプ直結で、DCカット用のコンデンサーが1個入っているのみとのこと。

■ 170Hz以下を受け持つサブウーファーはツィーターに供給された信号からフィルターで必要な帯域を抜き出し、専用のパワーアンプで2個のユニットをドライブしています。

■ そう言えば、1958年に発売された三菱のモニタースピーカー「2S-305」もウーファーはメカニカルフィルターで1.5kHz以上をカットし、 ツィーターはコンデンサー(8μF)1個で低域をカットしただけの超シンプルな構成でした。

     (← 取説と現物からの想像図です)

■ サブウーファー部の背面にあるスイッチでサブウーファーを切り離すとツィーターが独立します

■ サブウーファーはXLR端子からラインレベルでの入力が可能となり、2Way+サブウーファーのスピーカーシステムとしてドライブすることが可能となります。

■ 50年の時を経て、L/Cネットワークレスの超シンプルスピーカーシステムとの出会いでした。

■ アバンギャルト恐るべし!でも今回は大きな可能性を感じさせるシステムへのチャレンジです。

■ 結果はMMさんからのレポートをご覧下さい。

   
<MM氏からのレポート>

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電源ケーブルやラインケーブル、そしてSPケーブルまで長さが足りる足りないで何度もラックの裏側に入り、大汗をかいていただきながらのセッティング、本当に申し訳けありませんでした。

ケーブルの関係から、写真でもオーディオラック内のアンプ位置がずれていると思います。

 
             <DEQXの調整が完了したMM氏のシステム>

DEQXとクリズラボ製のパワーアンプが納品された日に、それまでのシングルアンプによるバイワイヤリング接続から本格的な3Wayマルチアンプ方式にセッティングをして貰いました。

しかし、この日は設定の最終段階と、完了してから寝るまでの数時間しか新しいシステムを聞くことが出来ませんでした。

その後も野暮用で外出ばかり。本日にやっと本格的に聞く時間が取れたのでまずは感想を述べさせて下さい。

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フラット感の達成を目指して

かなり大型の 「duo G2」 システムを8畳間に置いて至近距離で聞いているせいかもしれませんが音色的なクセをかなり感じていました。

専門用語はよく判りませんが周波数特性の凹凸感(?)が次第に気になってきました。

さらに、リスニングポジションで頭を10㎝ほど左右に動かすと音質がガラッと変わってしまうなど、音を聞く度にモヤモヤした気分が溜まりまくっていました。

そんな折、4年ほど前に西蒲田のALLION試聴室でDEQXを使って調整されたスピーカーのフラットな音色感を聞いたことを思い出し、もしかすると現状の不満解消策になるかも・・・と思いました。

3Wyaマルチアンプ方式へのサプライズ

早速クリズラボにメールを出して相談すると、結果的にはなんと本格的な3Wayマルチアンプ方式が可能かも?との話がありました。

duo G2の接続部が掲載されたページの取説を送り、具体的な計画を立てて貰いました。

DEQXを導入するための検討段階では、現状のバイワイヤリング接続を単純にバイアンプ方式に置き換えるつもりでしたが、本格的な3Wayマルチアンプ方式にしてDEQXで調整するという栗原氏の提案に乗ることにしました。

結果は大成功で、現状の不満が一挙に解決!しました。

同じ距離で聞いているのに、システムのクセが無くなり、あのフラット感が達成されています。

サブウーファーの音もより低い音域まで拡大し、さらに締まった感じになりました。

■ 4つのプリセットポジション

DEQXには4つの基本的なプリセットが出来るとのことで、相談の結果、
  0.バイパスポジション(DEQXの補正をしない、オリジナルのシステムに近い音)
  1.DEQXでスピーカーとルーム補正を行った「標準サウンド」
  2.50年代のJAZZを熱く聞くための専用ポジション
  3.ジンガリのスピーカー特有の音色を持たせた、女性ボーカルポジション
  の4種類をセットして貰いました。

まだ十分な聞き込みをしたわけではありませんが、少なくともバイパスポジションは既に一瞬でも聞いてはおられず、直ぐに「プロファイル-1」の標準サウンドに切り替えてしまいます。

「2.」や「3.」も大変面白い感じでなのすが、聞き込んでいく内に、最終的には「標準サウンド」が一番で、ほとんどのCDやレコードはこのポジションで聴くことが出来そうです。


今後の予定としてはせっかく汗をかいて戴いた(笑)接続ケーブルを見直し、長さの適正化や見た目の美しさを向上させたいと思います。

DEQXはリモコンで100通りのEQが出来るというお話もありましたが、現状では2~3年後に2~3個のEQに挑戦するかどうかという感じかもしれません。でも、結果的にはまたP1の標準サウンドに戻っているのかなと思います。

      
                <アナログプレーヤーとフォノEQアンプ>

残念ながら今は海外勤務という事情もあり、せっかくのDEQX導入システムも存分に楽しむことが出来ません。当面はもっともっと音楽を聞く時間を作ることを最優先に考えることにします。

そして、来年には現在のシステムを2階から1階に移す計画があり、その際はせっかく購入した調整用のマイクロホンを使って、DEQXによるルーム補正機能に挑戦したいと考えています。

                                            千葉のMMより。

   

■ お忙しい中、感想文をお寄せ戴き、ありがとうございました。
■ 実は最初にご相談を戴いたとき、このスピーカーの実態を理解していませんでした。
■ 展示会場などで音を聞いたことはありますが、それ以上でも以下でもありません。
■ しかし、今回の件があったので調べて見ましたが、調べるほどにスピーカーの本質を追究したユニークな製品であることに気付きました。
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ここで少しだけスピーカーシステムについての持論を述べてみたいと思います。

■ 一般的なマルチウェイ方式のスピーカーシステムには、せっかくの良質なスピーカーケーブルを無意味にするような長い銅線を巻いたコイルや、普通ならあまり音を通したくない電解コンデンサーなどを使用したL/Cネットワークが内蔵されています。
■ 通常のユニットを使用したマルチウェイ方式のスピーカーシステムには必要不可欠なこのL/Cネットワークですが、音楽再生システム全体の中では「必要悪的な存在」だと考えられます。
■ 可能な限りのピュアな信号増幅を行い、十分な駆動力と制動力でスピーカーユニットを制御出来るはずのパワーアンプからの信号が、スピーカーユニットに行き着くまでにL/Cネットワークを通過することで大きく劣化してしまう可能性があります。
■ この弊害をなくすにはL/Cネットワークを取り去ってスピーカーユニットをパワーアンプに直結することが早道です。
■ しかし、実はこれ以外にも様々な工夫でL/Cネットワークを取り去る方法があります。
■ 具体的には、三菱の2S-305や今回のアバンギャルト製スピーカーで実現された方法です。
■ 2S-305はウーファーの振動板に特殊な方法でフィルター効果を持たせ、不要な高域が出ないようにしてウーファー用のL/Cネットワークを省く方法を実現しています。
■ duo G2の場合も同様ですが、圧巻はミッドレンジ用のホーンとドライバーユニットです。
■ ドライバーの高域(2kHz以上)は2S-305と同じようにメカニカルなフィルター効果を実現して減衰させています。
■ そして、低域はホーンのカットオフによる減衰特性を利用して再生帯域を制限するという巧妙な手法を採っているのです。
■ ツィーターは2kHz以下をカットする目的と同時にユニットの保護を兼ねてコンデンサーを1個だけ使ったシンプルな構成で必要なネットワーク特性を実現しています。
■ duo G2がこの方式だと判ったときは改めて驚くと同時に、「やるね!、アバンギャルトさん」という感じでした。
■ 複雑なL/Cネットワークを持たないこのduo G2を更にマルチアンプ方式で鳴らすことの意味については十分な検証が必要だと思いますが、今回の実施結果からは大変有効な手段だと感じています。
■ 実際にこのユニットを活用して3Wayマルチアンプ方式を組む場合の注意点としては、
 ● 3Wayとして組む場合のクロスオーバー周波数はユニットの物理的な特性で決定されるため、基本的にはオリジナルと同じ設定にする必要があります。
 ● 遮断特性は実際の試聴結果で決めれば良いのですが、ユニットに不要な信号を入れない方が良いという考え方から、今回は96dB/oct.という急峻なスロープ特性を採用しました。。
 ●各ユニットにおける振動板の位置(前後)を合わせることはマルチウェイ方式の基本ですが、duo G2ではミッドレンジユニット(振動板)がツィーターよりもかなり奥にあります。
  今回はDEQXの機能によって全帯域に及ぶ位相特性が完全に補正され、結果的にユニットの振動板位置も電気的に補正されていますが、いずれにしても何らかの方法で音源の位置を合わせる方が良さそうです。

    
              <MM氏宅のduo G2をDEQXで測定した結果>

 ● グラフは各ユニットの周波数特性を測定したものです。サブウーファーの高域はDEQXで制御するため、スピーカー側のフィルターは高域まで伸ばすポジションを選択しています。
 ● 中高域のクロスオーバーは指定の2kHzではなく、実測値を参考に1.8kHzに設定しました。

 

■ 今回のDEQX導入に際しては話題のアバンギャルド(avangarde)製スピーカーシステムにチャレンジできたことで、その製品コンセプトの素晴らしさを発見出来ました。
■ そして結果としても、MM氏の悩みが解消できたことは嬉しい限りです。
■ MMさん、お忙しい中、長時間のお付き合い、ありがとうございました。


                    Kurizz-Labo店主:栗原

   

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