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No. ユーザー DEQXの導入機種とシステムの特長 掲載時期
89 埼玉県 KT氏 システムのオーナーである照井和彦氏。DEQXのオーナーで
オーディオ評論家の三浦孝仁氏から届いた感想文を一挙掲載
2017年 4月

< 部屋のオーナー照井和彦氏(右)と、友人でオーディオ評論家の三浦孝仁氏(左) >

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■ 感想文-1:照井和彦氏
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・三浦さん、栗原さん、DEQXの設置と調整、そして音出しまでの一連の作業ありがとうござ
 いました。

・私も実は以前、自動的に音場を調整する機能が付いたAVアンプが音響各社から盛んに提案
 されていた頃、前職のソニーでこれらの開発の手伝いをしておりました。

・測定信号をマイクで拾い、デジタル技術による信号処理で再生周波数特性や時間特性などを
 整えます。その結果各スピーカーの音のつながりなどが劇的に改善される技術に大きな可能
 性を感じておりました。

・しかし一般的なAVアンプでは搭載出来るデバイスにも様々な制約(特に価格面で)があり、
 信号処理能力などに限界があるのも事実でした。

・今回のDEQXは信号処理専用のDSP(SHARC)が2個搭載されているとのこと。これまでの
 AVアンプで感じていた限界を突き抜ける程の高い能力とその結果を実際の再生音で確認する
 ことができました。

・位相や再生周波数を補正した効果でしょうか、一言で表現すれば通常ステレオ再生における
 仮想的な中央定位となるボーカルのイメージが大きく変化しています。

・DEQXの効果をONにした瞬間、口元でもやもやしていた付帯音が一切なくなり、センターに
 ビシッと収まります。

・また、ボーカル以外にもバックでサポートする様々な楽器の音がクリアになり、まるで見え
 るようになることも大きな魅力でした。

・測定結果をフィードバックして音を補正するDEQXですが、それ以前の部屋の基本的な音響
 特性が極めて重要であることを後日栗原さんのレポートで知りました。

・例えばスピーカーシステム近傍の一次反射をおさえるカーペットや音響的なマテリアルの
 追加。

・横壁の吸音処理や部屋に散在して音に影響を与える不要物品の撤去なども必要だと思います。

・こうした諸々の課題について具体的な対策を行い、自分なりに整理した試聴空間を準備した
 いと思います。

・その上で遠くない将来、改めて測定と調整をお願いしたいと考えています。

・それまでは今回の基本設定である、P0、P1、P2、P3の音(調整レポート参照)をじっくり
 と聴き込んでみたいと思っています。

照井和彦


< 照井和彦氏の実家に設置されたDIYオーディオの原点のようなスピーカーシステム >

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■ 感想文-2:オーディオ評論家 三浦孝仁氏
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・私がクリズラボの栗原さんと初めて出会ったのは、もう10年ほど前でしょうか。

・オーディオベーシック誌の記事で、オーストラリアのDEQXによるスピーカーコレクションと
 ルームコレクションの絶大な効果を体験取材したのが始まりでした。

・DEQXについては米国ラスヴェガスで開催されているCESで知っており、時系列的にはそれか
 ら直後に栗原さんがフェアライトジャパン社から独立され、DEQXを日本で紹介する立場に転
 じたのだと記憶しています。

・DEQXユーザーの方々が御理解されているように、DEQXによる音質改善は本当に画期的です。

・DEQXなら、既存のスピーカーシステムを始めとして、HDPシリーズではドライバーユニット
 を組み合わせた3ウェイ構成まで、DEQXがあればスピーカーコレクションとルームコレクショ
 ンにより理想的な音に導くことが可能です。

写真 写真 < 見事な手作りのBOXに装着された MorelのTSCM634と、Scan-SpeakのD3004/604000 >

・私は2009年にHDP-3を導入しました。

・そのときに、デジタル入出力基板とバランスド出力基板(高性能オペアンプ仕様)をインス
 トールしておりますが、HDP-4やHDP-5は最初からフル搭載なのがいいですね。

・最初の頃は頻繁にHDP-3を使っておりましたが、仕事柄から既製品のスピーカーシステムの
 音を聴くことが多いこともあり、残念ながらHDP-3の出番は少しずつ減ってきました。

・それでも、私はDEQXに対して常にポジティヴに応援する立場にいます。

・栗原さんのUser’s Reportに登場してくださっている2人は、私が勧めたDEQXユーザーです。

・DEQXの性能と可能性は本当に素晴らしいのですが、Windows対応の専用ソフトウェアの言語
 が英語というのが日本人にとってやっかいなハードルとなるのは否めません。

・また、これは自分の拙い経験からですが、DEQXではマイクロフォンによる計測や対処の過程
 で、使う側の知識や経験といったノウハウ(センス)も少なからず求められるようです。

・私はもちろん栗原さんのような超エキスパートのレベルには及びません。

・ここに登場するKTさんの場所に同席させていただき、栗原さんの手際の良い計測と、熟考して
 いる様子に改めて感動いたしました。

・何人ものオーディオファイルのところでDEQXをインストールしている経験値の高さは、ここ
 でも素晴らしい音として結実しています。


< JBLのプロ用BOXを大幅に強化した完全密閉BOXにFOSTEXのW400A-HRを2個装着>

・KTさんのオーディオ環境は、かなりダイナミックに遍歴を重ねてきました。

・JBLの4350から始まったダブルウーファーのシステムはTAD 1601aに転じて、最近では
 FOSTEXに落ち着いております。彼はダブルウーファーが好きなのです。

・FOSTEXも1基のバスレフレックスからスタートして現在のダブルウーファー密閉型に...。

・ミッドレンジやトゥイーターも遍歴があってセッティングも変化していますが、ここでは
 割愛しましょう。

・ちなみに、セラミックのミッドレンジとダイヤモンドのトゥイーターもあります。

・ここに登場しているシステムは半年ほど内容が変わらず安定しており、そろそろDEQXで音質
 的な大幅ステップアップをする時期だろうと判断した次第です。

・そこで、拙宅で休んでいたDEQXのHDP-3をKTさんのオーディオシステムに持ち込むことで
 飛躍的な音質改善を目論んだというわけです。

・結果は上々ですが、少しばかり悩ましいこともあります。

・これは自分でも何度か経験しているのですが、DEQXでニア・パーフェクトな音を実現できて
 から、自分のなかで「ああ、もう少し部屋の環境(壁の反射や定在波の対処など)を整えると
 良かったかな...。」といった具合に、反省点をいくつか見いだしてしまうのです。

・今回の場合もそうで、ドライバーユニットの配置に関してや吸音処理について試したいところ
 があります。その対処策はもう頭のなかで考えています。

・すなわち、環境を改善してから再び栗原さんに来てもらい有料で調整をしていただくことです。

・私もアースワークス製の推奨マイクロフォンを持っていますし、自分で対処するのも不可能で
 はありません。

・しかしながら、私には栗原さんが築きあげた膨大なノウハウはないのです。

・幸いなことに、クリズラボがある長野県軽井沢とKTさんの場所は新幹線を使うと決して遠くは
 ありません。

・HDP-3はDEQXのなかでも第2世代で古い機種になりますが、2基のDSP処理とデジタル入出力
 は24/96で動作します。

・ハイレゾ時代といわれる昨今ですが、当面はHDP-3で乗り切れると考えています。


<アンプ:低音 SONY / TA-N1(下)、中高音 Ayre / V-6xe(上)、DEQX / HDP-3(中段)>

・栗原さんに調整してもらったKTさんのダブルウーファー・システムは、音像定位の明確さや
 エネルギーバランスに関して明らかな改善が感じられ、音楽が高精細な映像を体験している
 ようなイメージで堪能できます。

・音場空間の拡がりもよくなっています。もちろん、それまでの音とは変化要素が多いので、
 耳が慣れていく必要もあるのは事実です。

・DEQXによる効果は言葉ではなかなか御理解いただけないようです。まさに「百聞は一聴に
 しかず」という感が否めません。

・DEQXの効果について、私は漠然としておりますが「実にしっくりと感じられる音」と話す
 ことがあります。

・例えばアコースティック楽器の再生では、巧いマイクロフォン・セッティングで収録したな
 あと自然に想わせる、心地良い音の伝達が感じられるのです。

・クリズラボの栗原さんが素晴らしいのは、彼が身につけている音=音楽のセンスです。

・某放送局で長年に渡って音声エンジニアとして活躍してきた実績は伊達ではありません。

・また、TADのドライバーユニットを使ったスピーカーシステムを見れば、オーディオファイル
 としての熱意と研究意識がそうとう高いことが窺えます。

・その経験と耳でDEQXの調整を行うのですから、私は栗原さんの技量を信頼しています。

・実は音楽ジャンルの趣味やオーディオの理論と実践などについても意見が共通するところが
 多いのです。

・音に対しては、偏りのないニュートラルな感覚をお持ちのようです。

写真 写真 DENONのプレーヤーにDS Audio社の光カートリッジを装着、右(上)は専用のイコライザー

・コメントが長くなってしまいました。

・今ではオーストラリアのDEQXだけでなく、たとえばフランスのTRINNOV AUDIOなど、
 スピーカーシステムが発する信号音を時間軸と周波数軸で解析して最適な補正を可能とする
 機器があり、共に優秀な効果を寄与してくれます。

・DEQXは世界最高峰と言われた電子キーボードのフェアライト社を興したキム・ライリー氏が
 1997年に創設した会社です。

・アナログデバイセズ製の高速DSPを駆使したデジタル補正を一貫して研究しているDEQXの
 開発陣には20年間という研究開発のアドバンテージがあります。

・今回のKTさんのケースをよい機会に、私はデジタル領域での音質補正についてもっと学ぶべき
 だと考えています。

オーディオ評論:三浦 孝仁




・オーディオ界の重鎮お二人の前で行うDEQX調整にはいささかの緊張感が漂います。

・でも、頂いた感想文を拝見して少しだけ胸をなで下ろしています。

・現在は少し落ち着いているとのことですが、魅力的なユニットに出会えばまた・・・・・

・しかし、これぞDIYオーディオの推進力であり、原点だと思います。

・私自身、同じ音源なのに装置の進化に伴う新たな発見にはゾクゾクさせられます。

・お二人の感想文に、部屋の音響的な処理やユニットの配置変更等々のお話しもあります。

・次回の調整時にも改めて美味しいビールが飲めることを楽しみにしています。

Kurizz-Labo:栗原信義



            調整データーをまとめましたのでご覧下さい
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