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DEQXの導入機種とシステムの特長
掲載時期
109
長野県 TK氏
理想的なDIYオーディオを実践中のTK氏が New HDP-4 を導入
2019年8月
< ネットワークをバイパスして3Wayマルチアンプ方式で駆動される B&W Nautilus 802 >
< ↑↑↑ ON-マウスでDEQX導入前のシステムが見えます ↑↑↑ >
→ DEQX導入前のシステム拡大図
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■ 感 想 文
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・ 先日は、遠路お車でお越しいただきありがとうございました。
・ また、拙宅のオーディオシステムの音を高く評価していただき、恐縮しております。
< 右側のスピーカーと壁面の音響処理の様子、そして、再生機器一式 >
・ 2か月ほど前にスピーカーのネットワークをバイパスしてマルチアンプ方式に変更しました。
・ それ以降も気になっていた音質上のポイントは次の通りです。
・ 一つは以前からのものですが、60Hz付近にある部屋の定在波です。
・ この対策として5バンドのパラメトリックEQをウーファー帯域に入れてみましたが思うように解消できません。
・ そして、マルチアンプ方式への変更以降、中高域が少々きつくなったように感じることです。
・ 曲によっては魅力的に感じる場合もありますが、この原因について私なりに考えてみました。
・ 私はスピーカーのマルチアンプドライブ化にあたり、まずはオリジナル状態を調べました。
・ 音圧計を個々のスピーカーの直前にセットして測定しユニットとクロスオーバーの特性を調べます。
・ そのデーターを元にほぼ同じ特性となるようにマルチアンプ方式のチャンネルデバイダーを調整しました。
< DEQX導入前のシステムの様子で、私が最初に聴かせて戴いた時の状態 >
・ 結果としてマルチアンプ化以降は全く別の音になりました。
・ これはLCネットワークがないのですから当然かもしれません。
・ 音質的には、中高域の密度が上がると同時に多少きつく感じます。
・ 聴感上の僅かな感想ですが、これは予想していない変化でした。
・ 原因は様々に考えられますが、チャンデバの品質なども関係していると思います。
・ そして、基本的にはスピーカーユニットの素の音がそのまま出てきた結果だと思います。
・ B&WはLCネットワークでこの部分をうまく補正して、きつ過ぎない音に調整していたのかもしれません。
・ 聴きやすい音でしたが音楽の角が取れて重要なエッセンスが失われているような気がしていました。
< 導入されたDEQXとそれ以前に活躍した機器 > < 2個のSP端子と直出しで3Wayマルチアンプ化を >
・ 今回、低域と高域に関するこれらの問題がDEQXの導入で一挙に解決してしまいました。
・ DEQX!恐るべきです。
・ 部屋の音響対策やマルチアンプ化への変更など、出来る限りのことをしてきました。
・ DEQXの導入でジグソーパズルの最後の2つのピースがキレイに収まったようなすっきり感があります。
・ もちろんDEQXの導入についてはこれを使いこなせる高いスキルが必要だとも思いました。
・ マルチ化後の音質の変化では、LPやCDを片端から聴きたい衝動にかられました。
・ 更に今回のDEQXによる変化で以前には聴く気にならずに眠っていたCDが復活したものも多くあります。
・ 何とも凄いことだと改めて思いました。
・ 当面は現状の設定でひたすらに音楽を楽しみたいと思います。
・ 私の要望で設定して貰った著名な某氏の推奨再生特性もできれば少しずつ触ってみたいと思います。
・ しかしこれすらもDEQX初心者の私にはハードルが高そうです。
・ まずは、現状に於けるDEQX導入後の感想を書かせていただきました。
・ 今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。
長野県のTKより
◆ 調整を終えて(Kurizz-Labo)
・ 午後1時、TK氏宅に到着。
・ そのままのシステムでいつもの曲を聴かせて戴きました。→ → → →
・ 1曲目「Easy to Love」の冒頭35秒、
・ ソロボーカルで中高域の質感とS/N、そして中央定位が見えます。
・ ウッドベースが加わり低域も見えてきます。
・ 1分40秒、ドラムとピアノが加わり、全帯域の透明感とバランス、奥行と広がりと定位感が見えます。
・ 結論から言えば、TK氏のシステムは恐るべき完成度です。
・ 既に富士山の9合目にいます。後は・・・・・頂上に登るしかありません。
< 左側のスピーカーと壁の音響対策。コーナーの葦簀(よしず)で高域に変化が >
・ 持論ですが、サウンドクォリティの90%はスピーカーと部屋で決まると思っています。
・ 地道に取り組まれてきた部屋の音響対策やマルチアンプ化へのチャレンジ。
・ その効果が見事に音に出ていると感じました。
・ 頂上を目指していざ出発!
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■ 測定結果
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[図1]スピーカーの測定結果(L/Cネットワークのバイパスで始めて見える3つのユニット)
・ DEQXのスピーカー補正に於ける各ユニットの音圧レベルが最適な状態となっていいます。
・ ちなみに、スコーカーを中心にウーファーとツィーターが数dB低い状態がベストです。
[図2]ウーファーの測定結果(1800Hz付近で若干の差がある以外は左右で完全に一致している)
・ 強固で音響的なロスの少ない振動板である証明となる高域の共振(3kHz付近)が見える。
・ 再生帯域が350Hzまでなので適切なフィルターを使えば共振による音質への悪影響はない。
[図3]スコーカーの測定結果
・ 中域を受け持つスコーカーは内部損失を高めに設定しているのか、高域共振が比較的小さい。
[図4]ツィーターの測定結果
・ 強固でロスの少ないメタルドーム振動板の高域共振は鋭いピークとして現れている。
・ 共振周波数は25kHz以上と帯域外であり聴感への影響は限りなく小さいと思われます。
[図5]「図1」の周波数特性を時間軸の変化に変換したグラフ
・ スコーカーの後にツィーターの反射があり、差は0.38ms(12p)なので床面からの反射と思われます。
・ このグラフでの設定はグリーンカーソルを反射波の直前に置いて直接音だけを取り出すことです。
・ 今回は直接音と反射音が明確に表示された例として説明書に載せたい(笑)ほどです。
・ 反射波を取り除いてクロスオーバーを設定するとスピーカーの補正フィルターが完成します。
・ 次に、スピーカー補正フィルーターの使用を含め、4通りの基本設定(プロファイル)を作ります。
・ プロファイルが完成したらもう一度測定信号を出してリスニングポジションでの特性で測定します。
[図6]リスニングポジションでの測定結果(スピーカー補正は実施済み)
・ 100Hz以上は大変スムーズな特性で、部屋の音響処理が適切であることを示しています。
・ しかし、ほぼ正方形の部屋の影響と思われる大きなピークとディップが生じています。
・ これは部屋の音響的な特性(フィルター)であり、スピーカーの音を大きく歪める要因となります。
・ 放置すれば全ての音楽がこのフィルターの影響を受けてクセのある音になってしまいます。
・ DEQXのルーム補正はこのクセを大幅に低減することが可能ですが多少のノウハウも必要です。
・ 今回の設定を一つの例としてマニュアルで設定するルームEQの作り方をご紹介します。
[図7] ↑↑↑ ON-マウスで実際に適用するEQの状態が見えます ↑↑↑
→ 「Invert」モードで設定したEQの拡大図
・ ルームEQのマニュアル設定は最初に測定データーと一致させることから始めます。
・ この時に活躍するのが「Invert」機能(EQの逆特性)です。
・ 背景となっている実測データーをなぞるようにして10個のパラメトリックEQを設定します。
・ 最初のEQ設定は低域を中心に5kHz以下の帯域で実施しました。
・ 5kHz以上が3dB/oct.の下降特性を示していますが、これはドームツィーターならではの特徴です。
・ 高域の特性をフラットにすることは可能ですが良質なドーム型の場合はこのままがベストです。
・ EQ設定が終わったらもう一度「Invert」ボタンを押して本来の補正カーブにします。
・ 今回は8個のEQで想定したカーブが完成したため残りの2個をリザーブして将来に備えました。
・ 通常のアナログ式イコライザーでこの特性を作ることは至難の業であり、事実上不可能だと思います。
・ この状態でとりあえずCDを聴いてみると・・・・・あらら・・・既に山頂に到達していました。
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・ 床を落とし込んで天井高を確保したリスニングルーム。
・ メーカー製の音響ボードに木製のリブをDIYで取り付け、前方と後方の壁に配置。
・ 円柱形の拡散吸音材を左右の壁に取り付けられていました。
・ 圧巻はスピーカーのL/Cネットワークをバイパスしてマルチアンプ対応化されたことです。
・ 昨年の暮れに私自身が全く同じ作業を行っているため大変さは良く判っています。↓↓↓↓↓↓
・ そして、工事の大変さと共に高価な既製品に手を加える怖さも・・・
・ それから僅か2ヶ月で富士山の9合目まで到達されるとは。
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・ 今回の作業はプリとチャンデバとEQをDEQXに置き換えるだけ。
・ パワーアンプのレベル調整は一切不要。
・ 明確な分離される直接音と反射音。
・ 室内の音響特性を補正するルームEQも一発で完了。
・ スピーカーと部屋の重要性を熱く語るTK氏の言葉と実行力が印象的でした。
クリズラボ:栗原
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