< 遮音対策済みのオーディオルーム(約13畳)に鎮座するソナス・ファベール社のクレモナ >
< 再生システム系統図 >
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■ 感 想 文
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・ 朝比奈隆のことばに『楽は堂に満ちて』があります。
・ 持参いただいたCDの合唱曲
(※1) は正にそんな思いで試聴させて頂きました。
・ 実はこのCDを聴くまで、自分のシステムに限界を感じていました。
・ しかし、今回の調整でシステムの持つ機能が全開となりました。
・ 部屋中に音が満ち、スピーカーが鳴り切っていることを全身で受けとめることが出来ました。
・ SPユニットの故障で二度の調整となりましたが、本当にありがとうございました。
※1)
2L Music マニフィカト(Track:2)
大田区のYMより
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■ 友人レポート(その1) (DEQXの調整に同席して)
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・ 知人のYM氏から、DEQXの設置調整をお願いしたので良かったらご一緒にどうですか?、との嬉しいご連絡があり、
二つ返事で同席させていただくことにしました。
・ YM氏は熱烈なクラシックファンで、中でもオーケストラがお好き。
・ オーディオは良く分からないが、自分にとっては音楽を聴くための道具であり、コンサートの包み込まれるような生音を
細大もらさず再生したいだけ。と、オーディオの終着駅と思われるお考えを静かにお話しされます。
・ オーディオチェックのために音楽を聴いているような小生にとっては、しばしばドキッとさせられます。
・ オーディオには無頓着とおっしゃる氏の”道具”は奥様と試聴して即決なさったというソナス・ファーベルのクレモナを
ベースに、アキュフェーズのプリとパワーでドライブ。余計なものは入れたくないと、ソースはCDプレーヤのみ。
・ スピーカケーブルは銀単線と銅単線の複合ケーブル、ライン接続はITTキャノン製XLRコネクタによるバランス接続、
ACタップもがっちりした専用品。
< クレモナのSP端子と接続コード > < 中央がオーナーのYM氏、左側が同席されたSS氏 >
・ 15畳はあろうかという、目障りなものが何もないリスニングルームにこれらを設置。
・ 今回はこれにDEQXが加わるとあって、生半可なオーディオファンではとても及ばないレベル。なんとも羨ましいです。
・ 氏が改善したいポイントは、
◆ オーケストラをもっとクリアに、そして声も明瞭にしたい。包み込まれる音場感を得たい。
◆ オーディオルームに物を置きたくないので部屋に起因する問題点は諦める。
◆ もし今回のDEQX導入で多少でも解消出来ればありがたいが ・・・・・
とのこと。
・ もともとかなりのグレードの再生音でしたからDEQXの導入でどこまで行けるか興味津々。
・ 当日は半分興奮状態で左奥の位置で聴かせていただきました。
・ まずはDEQXを入れない現状での演奏を聴きました。
・ 以前に伺った時より低域が強調され、もう少しヌケ感、クリアさがほしいと感じました。
・ スピーカーの左右に置かれていたハンガーラックのジャケット類を片付けられたためかと思い、それならチューニング
可能だろうと期待しつつ、次のフェーズへ。
・ 栗原さん濱崎さんとも何か気になるらしい雰囲気のまま、手慣れたスピーカ測定を開始。
・ あれっ!、右の中域に20dBものディップが。
< 初回調整から一週間後、SS氏に測定していただい左右のスピーカーにおける特性の違い >
・ スコーカのコーン紙は振動している、ネットワークがどうなったってこんな特性は作れない、何が起こっているんだ、と一同
顔を見合わせ。
・一歩下がってながめれば、スコーカが鳴っていない。配線かボイスコイルの接触不良か断線だろう、でした。
・ コーン紙は背圧を受けての振動、だまされました。
・ スピーカユニットが外れず簡単に修理することは不可能で、メーカor代理店での修理をお願いしました。
・ ここで中断のはずですが、折角なので少しの期間だけでも聴けるようにと、DEQXでのチューニングにトライしてみようとなりました。
・ スコーカが鳴らずパッシブラジエータと化した中域に20dBものディップがあるスピーカをフラットにできるのか?
レベルのみでなく時間領域も含めて・・・、ますます興味津々・・・
・ てきぱきとチューニングが進み、いきなりきれいなフラットに。
< 音の出ないMidユニットの帯域(400Hz〜2.3kHz)をDEQXが補正した時の特性 >
・ 試聴するとこれはなかなか良い。左3ウエイ、右変則2ウエイであることを忘れます。
・ DEQXをパスすると一気に崩れることで、思い切りチューニングされていることが良く分かります。
・ ウーハ、トゥイータをはじめ、周辺機器のディレーティングやリニアリティがしっかりしているからこその結果でしょうが、
それにてもDEQXのチューニング能力の凄さをまざまざと見せつけられました。
・ とんだ横道にそれた設置調整になったわけですが、氏の目標である3点に関して、小生の耳にはかなりのレベルに
改善されたと聴こえましたが、ご感想はいかがでしょう。
・修理後にトリミングを進めればさらに改善できる可能性があるはず、との楽しみを残して仮調整を終えました。
・ 貴重な調整と実験にお誘いくださったYM様、同席をお許しくださった栗原様、濱崎様に深く感謝いたします。
・ ありがとうございました。
P.S.
・ DEQXの導入から数後日、MY氏から左右バランスに関してのご質問をいただきました。
・ 家も近いので早速伺ってみるとCDの録音またはマスタリング時のアンバランスと判明。
・ 音楽ファンである氏は、音をマクロでとらえるためか、わずかなチャンネルバランスも気になるご様子。
・ 一方、我々オーディオファンはどうしてもミクロで聴く癖がついているためか、少々のチャンネルバランスよりは周波数
特性的なバランス感や解像度、定位などが気になります。
・ 音楽ファンの方の聴き方に関して認識を新たにしました。
・ また、肝心の当方はDEQXの良さは充分に理解しているものの、フィールドキャリブレーションは時期尚早、その前に
やることがいっぱいの未熟な状態なので現在のところ未導入です。
・ オーナーでもないのに生意気を書いて申し訳ありません。
大田区のSSより
< やや上向きの設置が標準のクレモナ > < リスニングポジションに置かれた再生機器 >
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■ 友人レポート(その2) (二回目のDEQX調整に同席して)
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・ 前回に引き続きMY氏からお呼び頂きました。
・ ユニットの修理が完了し、DEQXの再調整を行うとのこと。
・ 今回も喜んで同席させていただくことにしました。
・ 修理は経年劣化も気になるので故障したユニットだけでなくツィーターを除いて全てを交換したそうです。
・ 当日、まずはDEQXで周波数特性のチェック。
・ 部屋に影響される低域はともかく、中高域は可聴帯域がほぼフラット。
・ 一同、顔を見合わせて、・・・・ すごい!の一言。
・ まずはこのまま聴いてみようと、DEQXなしでチェック用ソースを試聴。
・ 前回とは音のハリ、エネルギー感が違う。このままでも音楽に聴き入ってしまう感覚。
・ ソナスの実力とともに、コーン系ユニットの全交換も奏功しているに違いなく、氏の思慮深さに改めて感心しました。
・ これをベースにDEQXでファインチューニング ・・・ 期待感が高まります。
・ スピーカの測定と補正、スピーカーのポジションや向きなどを決めて部屋の特性を測定。
・ 二度目のDEQX調整はてきぱきと進み、Roomチューニングを開始。
・ 中高域は素の良さを活かし、主に低域をチューニングするとのお話し。
・ 部屋やバスレフによる避けられない特性のためか、低域のピーク・ディップは相当なもの。
・ これが解消できれば非常になめらかな中高域が活きるはず、などと考えているうちに、これでどうでしょうと、コーズ
チューニングが完了。
・ 試聴すると、ブーミーな低域が見事に改善されているのみならず、中高域までクリアになってびっくり。
・ 低域の改善でマスキングされていた中高域が良く聴こえるようになることはしばしばあります。との説明に納得。
・ 何曲か試聴を繰り返しながらファインチューニングも完了。
・ 基本モードのほかに、多少のトリミングを加えたモードを設定してすべて完了。
・ これはトーンコントロールというよりプレゼンスコントロール、シーンコントロールといった使い方が良さそうですね。
・ 最後の試聴では、ソナスの滑らかで歌うような雰囲気をしっかり感じつつ思わず曲に引き込まれます。
・ さまざまなオーディオチェックポイントの完成度はもちろん、録音を含めたソースの良否が手に取るように分かるのも
何よりの成果だと思います。
・ 良くできた音楽を聴くためのオーディオとはこういうもの、というのが率直な感想です。
・ もう一つ、聴いているうちにDEQXの存在をすっかり忘れます。
・ デジタル技術を駆使し、演算の限りを尽くしているはずですが、その存在を感じない。
・ 改めて時代が変わったことを実感します。
・ オーケストラをもっとクリアに、そして声も明瞭にしたい。包み込まれる音場感を得たい。という氏のご要望はどの程度
解決されたでしょうか?
・ 二度までも貴重な調整にお誘いくださったYM様に深く感謝いたします。
・ ありがとうございました。
大田区のSSより
< リスニングポジション付近から見たスピーカーと再生機器 >
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◆ 測定結果について(Kurizz-Labo)
< 測定マイクはツィーターユニットとミッドレンジユニットの中間、距離は0.8mで測定 >
◆ オーディオルームにおけるスピーカー測定では低域が部屋の影響を受けます。(今回は200Hz以下)
◆ 逆に200Hz以上の周波数特性は±3dB程度に収まる極めて良好な特性となっています。
◆ 7kHz付近のわずかなディップと、11kHz付近のピークは弦楽器の再生などに有利な艶を出します。
◆ クラシックの再生に強みを発揮するソナス・ファベール社のスピーカーの秘密かもしれません。
◆ このスピーカーから出る音が数メートルの空間を通過すると下図のような特性に変化します。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
< ↑↑↑ マウスを乗せると補正ありのグラフが見えます >
◆ 200Hz以下の帯域は音楽のファンダメンタルを受け持つ重要な帯域です。
◆ そして部屋の影響を大きく受ける帯域でもあります。
◆ 補正なしの状態では28Hzと80Hzの大きなピークが固有の癖となって再生音に付きまといます。
◆ この帯域をきちんと整えることで再生音の癖を取り除き、ソースの魅力をストレートに表現出来ます。
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・ 初回調整のスピーカー測定でユニットの故障(断線)が見つかるという思わぬ事態に遭遇。
・ チャレンジ精神と遊び半分でMidレンジの帯域をウーファーとツィーターで補完してみました。
・ なんと、片側の中域ユニットがないとはとても信じられない音が出てきました。
・ Scan Speak製ユニットが利用帯域外まで特性が十分に伸びている証拠でもあります。
・ 最終的にはツィーターを除く6個のユニット(8個中)を交換しての再調整となりました。
・ 二度のお付き合いと、途中でスピーカーの測定までして戴いたSSさんに厚くお礼申し上げます。
クリズラボ
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