■ DEQXを導入され、ご了解頂いた方々のシステムと試聴リポートを掲載させて頂きました.
■ また、デモなどでDEQXの音を聴いて頂いた方々の感想をそのまま掲載させて頂きました.
   
    最新情報:2011年7月13日:東京都青梅市、YM氏のDEQX導入リポート    
   
 猛暑の中、軽井沢から2時間半ほどの東京都青梅市に行って来ました。
 八王子のオーディオショップ「Sand Glass」様経由で購入して頂いたお客様です。
 音元出版発行の季刊「analog」誌vol.31の“レコード悦楽人登場!”に登場されています。
 このページを拝見するとYM氏の趣味人としての凄さが改めて判ります。

 
       <国産の高級乗用車一台分の経費と、膨大な努力が結晶した作品>


 YM氏のオーディオルームで最初に目に飛び込んできたのがこれ!
 国産の機関車を造りたかったが詳細な図面が手に入ったのはこれだった。との由。
 重さ60kg、15人を乗せた貨車を引ける石炭ボイラーの蒸気機関車で全てが手作り。

 これを製作されるYM氏は当然のようにアンプも自作されています。
 光技術の達人、理学博士としての現役を今年の3月に退かれて悠々自適。
 そんなYM氏が御年80歳と聞いて、のけぞる私でした。凄い!。
 現在、次のアンプを製作中。1台は完成して後1台とか・・・
 また、「今日のは仮のフィルターだったので、直ぐに専用機を造ります。」とのこと。

 80歳の今、これからが趣味全開といった感じのYM氏。とにかく凄いです。

   
   
 YM氏のシステムを写真でご紹介します。

 
     <60年間?の集大成とも言えるシステムだが、今も、着々と進化し続けている。>

 
    <音研の代表的なシステムでもある、堂々とした風格の4Wayスピーカーシステム>

 
          <右サイドの壁一面に配置されたプロ用を含む再生機器群>

 
     <バイポーラTrのSEPP、AB級-60Wの出力を持つYM氏製作のパワーアンプ>

 
     <DEQX HDP-3(トランス式バランス出力ボード付き)と氏自作の8kHzHPF。>
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         <YM氏のスピーカーシステム系統図(Kurizz-Labo作図)

   
     設置調整から2週間後、YM氏から感想文を戴きましたので掲載させていただきます。    
   
 DEQX導入の経緯と感想


◆ 経緯

 スピーカーシステムは低音がAltecの38cmウーハー(片側2個)、中音、高音、最高音がオンケン製のホーンタイプを使用した4Wayです。
 長い間自作のチャンネルデバイダー(6dB/oct)を使ったマルチアンプ方式で鳴らしてきましたが、昨年、音質の向上を目指して米国dbx社の「Drive Rack 4800」 を導入しました。
 音質の改善効果はかなりあったものの、その後に友人宅で聴いた国産A社製の最新型デジタルチャンネルデバイダの音質に魅せられ、今年の5月、同じA社製の最新型室内音響補正用イコライザーとともに購入して使い始めました。この結果、細部の質感がさらに向上し、音楽を楽しんでいました。

 そんな折、MJ・無線と実験7月号の「リスニングルームの夢」に出ていたDEQXの記事を見て、かねてからこのような機器を望んでいたこともあり、早速導入を検討しました。
 しかし、正直に言えば私にとってDEQXは未知の商品であり、実際に音を聴くまではどれほどの音質改善効果が得られるのか半信半疑でした。

 納品とセッティングの当日、クリズラボの栗原氏によって基本調整を終えたDEQXにCDプレーヤーのデジタル信号を直接入力し、その再生音を聴いた瞬間、これまで聴いてきたどのシステムの音質よりも格段に良くなったことに驚き、嬉しくなったことを今でも覚えています。

 この感想文を書いている2週間後の今、改めてDEQXを導入して良かったと思っています。

 音の感想
 DEQX導入後、いろいろな音楽を聴いて感じたことを率直に述べてみます。

 DEQX導入前に使っていた室内音響補正用のEQとデジタルchデバイダの組合せに比較してもその音質向上には著しいものがありました。
 この音質の変化について私なりに考えてみました。

 一つ目は、CDプレヤーからのアナログ出力信号をプリアンプに入力し、音量調整をしてからA社製のEQとchデバイダに入力していました。これは現在の構成であるDEQXを使った場合よりA/D、D/Aコンバーターをそれぞれ1回ずつ余分に通すことになり、これによる音質の劣化があるのではと感じました。

 二つ目はDEQXの音量調整用ボリュームが最終段のD/Aコンバーターの後、つまりアナログ出力で、パワーアンプの直前に設置されています。
 これに対して従来のシステムは、RIAAイコライザーや音量調整用ボリューム及びフラットアンプなどから構成されるプリアンプからの出力信号を室内音響補正用EQアンプに入力し、そこからchデバイダに行った後にDAコンバーターを通ってそのままパワーアンプに出力されていました。
 この構成ですと前段のプリアンプで絞り込んだアナログ信号をデジタル機器に入れる事になり、デジタル処理の精度が損なわれていた可能性が考えられます。

 アナログ及びデジタルの信号を直接DEQXに人力出来ることによる音質向上の効果は大きいと感じました。特にアナログ信号はレベルを絞らずにA/D変換してフルビットのまま処理できることによる音質向上の効果は大きいと思われます。

 DEQXを導入してからのLPレコード再生は、RIAAイコライザーアンプの出力に入れていたゲインアップ用のフラットアンプも取り外し、DEQXに直接入力することでさらに著しい音質の向上がありました。
 今まではアナログレコードをこの様な素晴らしい音で聴いたことがなかったので、手持ちのレコードを手当たり次第に聴いていますが、改めてレコードに入っている音の豊かさに感激しています

 その他の感想
 DEQXは3Wayのマルチアンプ方式まで対応できるようですが、私の場合は4Wayです。
 このため最高音部のツィーターには自作のフィルター(8kHz:HPF)を通して専用アンプで駆動するようにしています。
 最初はこの部分の音のつながりがうまくいくのかかなり心配しましたが、結果的には聴感上も測定値上も全く問題ないことがわかり安心しました。

 最後になりましたが、DEQXの操作は全て専用のリモコンで行いますが、操作性を含めて特に不満はなく、とても良いと思っています。

                                7月27日、東京都青梅市のYMより。


   
   
 YMさん、改めて貴重な感想文をいただき、ありがとうございました。
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 いただいた感想文に先立って、納品とセッティングを終えた直後のYM氏の声をご紹介します。

 正直な話、DEQXを入れても音質の変化は微妙なものだろうと思っていた。

 SP測定と基本的な調整を終えただけでこの変化には驚きだ。全く違う!。
       ・・・・・・・・・・ 午前中の作業を終えて昼食 ・・・・・・・・・・・
   <ルーム測定と定在波の補正も終わり、DEQXの調整を完了
       ・・・・・・・ 午後2時、お好みモードも入れて完成!・・・・・・
■ ベールがとれて音の分解能や明瞭度が格段に向上した。初めての事だ。
 1960年代のLPレコードにこれほどの音が入っていたとは!。
 DEQXを聴きたい方がいたら我が家に来るように言って下さい。
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なんと嬉しい感想でしょうか。そしてYM氏の嬉しそうなお顔が印象的でした。


   
   
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    <2011年5月28日:千葉県鋸南町、HO氏のDEQX導入リポート>    
   
 千葉県鋸南町(きょなんまち)の素敵なオーベルジュ(宿泊できるレストラン)。
 世界中のレストランで修行を積んだシェフが内装を担当。
 その1Fサロンに鎮座するB&WのNAUTILUS(ノーチラス)。
 4Wayノーチラスを2台のDEQXで鳴らしたいとう依頼が舞い込みました。
 調整が無事に完了したらシェフの特別料理が出るというのが条件です。
 結果は・・・極上の音を奏でるノーチラスでBGMを聴きながら・・・・
 特製のパエリアと鴨肉の料理を戴くことができました。

   
   
 HO氏のシステムを写真でご紹介します。

 
       <ノーチラスが小さく見える大きな空間に配置されたHO氏の再生システム>

 
   <B&WをドライブするSONYのDA9000ES(Low)とDA7000ES(Low-Mid、Mid-Hi、Hi)>

 
     <2台のPDC-2.6P:左がMaster機、右をSleeve機にした4Wayシステム>

 
    <Master機からSleeve機へはSPDIFデジタルで伝送、高域3Wayはバランス接続>

 
      <880Hz~3.5kHzを受け持つMid-Hiユニットの正面に測定マイクをセット>

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    午後6時。近藤シェフが2時間かけて調理してくれた特別料理を3人でいただきました。

  
   <地元産の食材を使った特製のパエリア>   <特別な方法で調理された鴨肉料理>
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          <夕食後はALLIONのパワーアンプに入れ替えての試聴会も>

 
     <当日、最初の作業(工事)はブレーカー用ネジの変更でした。さて誰でしょう?>

   
     HO氏から詳細な感想文を戴きましたので、そのまま掲載させていただきます。    
   
 出会い
DEQXとの出会いは、2年と少し前、出水電器の島元さんに教えていただいたところから始まります。
2009年にオーベルジュ(フランス風料理旅館)などの多目的用途で、房総半島内房の海沿いにある築40年の鉄筋コンクリート2階建ての古い寮に手を入れることになりました。
全面的に改装工事を行ったのですが、なにせ古い施設で、電源廻りも大幅に手を入れる必要がありました。

「電源工事は新築か改装時がいい」というAV VILLAGE の記事を思い出し、電源工事関連の記事を書かれていた出水電器の島元さんにお願いすることにしました。
工事範囲は引き込み幹線からオーディオ用コンセント付き分電盤までとアースもお願いしました。
分電盤から先は現地の職人さんに頼んだのですが、結果的には内装工事担当会社に全てまかせた見積りとほぼ変わらない金額に納まりました。それでいてかなりのレベルのオーディオ対策電源工事を行うことができ、アースの接地抵抗はなんと2.4オームです。
新築やリフォームに併せてオーディオ用電源工事を行うのは、本当におすすめだと思います。

アース棒の埋設を終えて休憩中の島元さんと、軽くオーディオ談義をしました。
島元さんはちょうどその頃にご自身でDEQXを経験された頃だったようで、「あれは凄い」とDEQXの威力についてお話になったのをよく覚えています。
それが今回DEQXを導入したきっかけとなりました。
また、このとき
(私)「本社にはNAUTILUS が置いてあるので、いつかこちらへ移そうと思っています」
(島元)「今、ALLION というアンプを作っています。是非、それとDEQXで鳴らしてみたい」
(私)「はい。そのときは是非」
小型の専用ブロックに丁寧に載せてある屋上の引き込み口配線を確認しながら、談笑したセリフを今でも鮮明に覚えています。。

 DEQX一台目は並行輸入品の中古
それから半年くらいして偶然ヤフオクで並行輸入されたDEQXが出品されているのを見つけました。
直ぐに購入し、当時の内装にマッチした木目のきれいなパイオニアのS-1000Tを置いていたので、これをDEQXの2wayシステムで構成し、調整してみました。
クリズラボのホームページに掲載されていた八王子S氏のマニュアルを使って調整し、確かな効果を実感したものの、自分ではそこまでが精一杯。その先の可能性を感したものの、そこから先へは自分だけでは進むことができず、あとはほったらかしにしてしまいました。
また、「パソコンと接続したまま調整できる」と書いてあるものの、本当に何しても大丈夫なの?とついつい尻込みしていたのも確かです。

今回の栗原さんの調整を見ていて、これが全くの懸念であることを思い知らされることになります。USBケーブルを抜こうが差そうが、スピーカーにダメージを与えるような音は一切出ません。
DEQXは本当に安心して作業できるシステムだったのです。


 ついにNAUTILUSと見参
あれから2年。今年になってすぐに本社に置いていたB&Wのノーチラスをようやくこちらに移すことになりました。
そしていざ音だしという時に肝心のパワーアンプ群(JEFFROLANDのMODEL10と12)が軒並み故障・・・・・。すべて同じトラブルです。いわゆるタイマーというやつですかね・・・・。
4Way用の8ch分が全てダウンですから修理費用に頭を痛めていたところ、栗原さんがデジタルアンプRDA-520でホーンシステムを鳴らしている記事を発見。
そして「かないまる」さんのホームページでもSONYのデジタルAVアンプでB&Wの80S3を7台を鳴らしてい記事があったのを思い出しました。
このSONYのデジタルAVアンプなら自宅と営業所にあります。
試しに持ってきてつないでみたところ結構いけます。低域もそれなりにきちんと鳴ります。
そこで、もともと所有していた機種に2台追加購入し、4台のAVアンプで4WAY を組むという変則なシステムで鳴らしてみることにしました。
TA-DA9000ES x 1 + TA-DA7000ES x3 というアンプ構成です。

価格的には栗原さん流に言うと、これらのAVアンプは今や一台5万円程度で手に入りますか、現時点での入手価格で計算すると、
スピーカー:アンプ = 1000:20 ……??
倍率では勝てました!?
冗談はさておき、一旦鳴ってしまうとB&Wオリジナルのチャンネルデバイダではなく、やはりDEQX をつないでみたくてしょうがありません。
音の素性の良さは出るのですが、まだまだこんなもんじゃないぞとスピーカーが訴えてくるのです。
しかし 4wayにはDEQXが2台必要で、導入に二の足を踏んでいました。


 二台目は正規品をクリスラボから。でも中古
そんなとき、クリスラボのホームページで中古の2.6Pを販売している記事を発見!
早速栗原さんにお問い合わせをし購入の意思を伝えて今回の4way調整依頼となりました。
期せずして、栗原さんから島元さん同行の可能性があることをお聞きし、是非にと追加の電盤盤工事の下見兼グレードアップ作業を依頼しました。
当時設置したコンセント付き分電盤では、電源タップ2台を追加しなければならず、「コンセントが増えたときは多素子分電盤に交換を!」と2年前にお話を受けていたのです。

ノーチラスは4wayのシステムですが、ぶっつけ本番になるのが不安だったため下準備を兼ねてミッドハイのユニットを使用しない3way構成として、事前に自分自身でDEQXを調整してみました。
具体的にはオリジナルのクロスオーバー周波数である、220Hz, 880Hz, 3.5KHzの内、880Hzを抜いて、10cmミッドロースピーカーに220Hz~3.5KHzを受け持たしました。やはり八王子のS氏のマニュアル通りに行うので精一杯だったのですが…。

本来4wayで設計されているものを3wayで鳴らすのは、あくまで接続テストとコードが足りているかの確認のためにすぎなかったのですが、意外や意外、この状況においてもDEQXの補正効果は明らかにいままでと全く違う別次元の音をもたらしてくれました。

つまり、4wayでそれぞれのユニットのおいしいところだけを使うメリットより、3wayでもDEQXを使うメリットの方がはるかに大きかったのです。
4way以上でコストがかかるからと二の足を踏んでいらっしゃるかたは、ぜひ一度DEQXを使用し3wayにトライしてみることをおすすめいたします。


 ご到着
はるばる4時間以上かけて信州から遠く房総までお越しいただきました。駅で島元さんと合流され、お二人でのご到着です。
オーディオの設置してあるホールへお通しし、小さな音で流していた藤田恵美の「camomile Best Audio」CDの音量を上げたところ、栗原さんは早速リスニングポイントの椅子にお座りになり音のチェックを開始なさいました。
長旅でお疲れのはずなのに、その早業に感激しました。結局最後までこのCD(特に5曲目)でチェックを繰り返すこととなりました。
リスニングポイントの横の机にノートパソコンを置き、USBケーブル(2+5m)を伸ばしてDEQXとつないで、早速設定内容(3way)をチェックいただきました。
「設定はひととおり問題なくきちんと出来てますよ」と言っていただき一安心。
現在の機器の状況をここでやっとご説明し、まずは島元さんの電源まわりの作業からお願いすることになりました。


 電源周りのグレードアップ
今回のグレードアップは、配線ケーブルの固定ネジの交換とブレーカーの振動対策です。
オーディオ用コンセント付き分電盤だけでなく、主分電盤と2階の分電盤すべてのネジを交換していただきました。
早速この段階で音質チェック。
う~ん。解像度がさらにあがり、島元さんのおっしゃる「上に突き抜ける感じ」を実感できました。すごい効果です。さらに、それぞれの分電盤のメインと漏電ブレーカーの振動対策をしてくださいました。
オーディオ用コンセント付き分電盤は既に対策済みとのこと。
この振動対策では一聴して音量感が上がりました。島元さんのおっしゃる「厚みと奥行き」の向上が十分に実感できます。
これは効きます!


 いよいよ2台のDEQXで4way調整開始!
元々3wayのディバイダー機能を持つDEQXを2台使って4way(最大5way)にする方法は次のようなものでした。

・測定と設定は左右の片チャンネルずつ実施する。まず左chのスピーカー前にマイクを置き、
A.Wooferユニットを除く高域側の3wayをSLAVE側に位置づけるDEQXで調整。
B.Aで調整した3wayを高域側の一つのユニットと見なしてWooferとの2wayシステムをMASTER側に位置づけるDEQXで調整。

これが完了したらマイクを移動する前に調整結果を確認するための測定をします。
結果が良ければ今度は右chのスピーカーにマイクを移動します。
そして、再度A..B.の調整を行います。
理屈としてはDEQXが2台ですから2倍の労力で済むはずですが、実質は4倍近くの調整時間がかかりました。

本格的な調整に先立ち、3wayから4wayに接続を変更しました。
DEQXとの接続は以下の通りです。

MASTER側DEQX:
Digital IN: CD player(yamaha HD1300改)
RCA Analog OUT-2:Amp(Low/Woofer) へ
RCA Digital OUT-3:SLAVE側DEQXへ

SLAVE側DEQX:
RCA Digital IN:MASTER側DEQXより
XLR Analog OUT-1:Power Amp(Mid Low)へ
XLR Analog OUT-2:Power Amp(Mid High)へ
XLR Analog OUT-3:Power Amp(High)へ


 まずはSLAVE側のDEQXでLow抜き3wayの左チャンネルから!
SLAVE側のDEQXにUSBを接続し「Tri Amp設定」で調整開始です。

スピーカーは約30畳のホールに設置しています。
左側のスピーカーは低めの天井の下、右側は吹き抜けの階段下で、左右が大きく異なる設置条件ですが、両方のスピーカーを吹き抜けの下に設置するとスピーカーの間隔が狭くなり過ぎます。
相談の結果、スピーカーは当初の位置通りとすることにしました。
幸いなことに左チャンネルスピーカーの横には壁がなく、後ろの壁も斜めになっていて、並行面が少ないラッキーな構造のホールになっています。
スピーカー位置はそのままで、Mid-Highユニットから1mの位置にマイクを置いて測定しましたが、室内の壁などによる一次反射までの時間は十分長くとれたようです。
庭に向けて掃き出し窓があるのでいつかは例のYouTubeにある 映像のように、鳥の鳴き声の下、庭にマイクを置いて測定してみたいと思っています(笑)。

この建物は40年前のもので、当時はそんなに車も走っていなかったんだと思いますが、ど田舎でありながら、国道と線路にはさまれ、音響的には結構うるさい環境になっています。窓は二重窓にしたのですが、今回の測定時にも25dB程度のSN比しかとれなかったのは残念でした。

左チャンネルの高域側3wayの測定は15分ほどの時間であっと言う間に終わりました。
測定データをご覧になりながら、「さすがのスピーカー!」の一声。
使用帯域はびしっとあばれの少ないフラットな特性で、各ユニットのおいしい部分を活かすクロスオーバーであることが判ります。

各スピーカーを測定するヒュンヒュンの信号音を聞くと、低域のスピーカーからはアルミのへちゃげたようなピーク音が聞こえましたが、その部分は余裕を持ってカットされています。上も30KHzちょっとまで十分に伸びていました。


 MASTER側のDEQXを調整せでいよいよ4wayの左チャンネルが完成へ
マイクはそのままで、USBケーブルをMASTER側のDEQXに差し替えてWooferを加えます。
DEQX2台を使用した調整は久々とのこと、また、機器自体の事前の接続ミス等もあって、いくつかトラブルに見舞われ、原因究明に時間がかかり、作業は結構難航しました。
最終的には無事に左側4wayの調整作業を完了し、次に右chの調整にかかります。

 右チャンネルの測定と設定は快速で完了。マニュアルEQの調整へ
右チャンネルは、左チャンネルの繰り返しですから、一気に進めそうです。
島元さんが、栗原さんの調整風景をビデオで撮って見返すというお話をしてくださったので、倉庫から使っていないDVCAMカメラを掘り出してきて、急遽調整風景をパソコン画面を中心に撮影することにしました。調整の勘所をぶつぶつつぶやいてもらうことにしました。
予想通り、右チャンネルの調整は20分程で終了しました。

測定結果に基づく設定作業では補正範囲の決め方などが初耳でとても役に立ちました。この部分、ぜひ文章に起こしてほしいと思いました。
また、測定時には信号音が指定したユニットに対応してきちんと出ているか、ひとつずつ確認されていたのには「さすが」と思わされました。
左右のスピーカー測定と設定が完了すると次はマイクをリスニングポイントに置いてルーム測定です。
スピーカーシステムの特性は30kHz程度までほぼフラットですが、リスニング位置では高域がだら下がりの測定結果でした。

さあここからがEQの手動調整です。栗原さんの真骨頂を見せつけられました。
まず、栗原さんご自身がリスニングポイントへ移動しノートパソコンを横に置いて設置して常用の調整用?の音楽が入ったCDを聞きながら、細かくレベルを調整してはリスニング。また調整と繰り返していかれます。
みるみる音のバランス良い方向に変化していきます。
そして、栗原さんが音楽を聴く時間が一気に増えたなと思った時、「さぁ、どうぞ」とリスニングポイントをおもむろにお譲りいただきました。

マニュアル調整が完了した音は、NHKのモニタースピーカーのバランス? いや放送局の音?
正確で平坦な中にも微妙な味わいと芯を感じさせるバランスのよい音です。
ふと、それはもしかして全く逆で、放送局の音というのは栗原さんが作っていらっしゃったのではないか?とさえ感じました。
試聴用に用意していた音楽を聴き進み、小澤征爾の弦楽セレナーデの最初のフレーズが眼前に広がったときには、グッとしびれました。
FMレコパルを愛読していた中学生のとき以来の夢であった「プロと岩崎宏美を聴く」ことも実現しました。趣向を凝らす意味で、'87年紅白ライブ録音「夢やぶれて」を用意しました。

(私) 「これ、紅白のライブ録音なんですよ」というと、
(栗原)「こんないい音で取れてました!?」

とおどけておっしゃいました。たぶん、ご自身も携わっていらっしゃったのではないでしょうか?
お願いした「ボーカルが気持ちよく聴けるEQセッティング」で最高の聴き心地です。


 シェフのフレンチで音楽と料理のコラボ。そしてALLIONの試聴
前述の通り、島元さんには全面リフォームのときから関わっていただいています。
内装工事はオーベルジュとしての用途を見据えて、なぜか建築関係も得意なフレンチシェフの近藤さんが企画監督したものです。
近藤シェフは自分でジャズピアノを奏でる音楽愛好家であり、今回の調整には大変興味を持たれ、是非見学したいとおっしゃるので、じゃあついでに料理お願いしちゃっていいですかと、ちゃっかり作っていただくことになりました。
近藤さんがちょうど仕込みが終って一服されていたので、「シェフもどうぞ」勧めると、ビルエバンスのピアノ、ロン・カーターのベースをリクエスト。
「生で聴いてるみたいですね」と、そのままズバリの感想をいただきました。
おつまみ程度ということでお願いしたのですが、さすがに一切手抜きはなく、超一級の料理を出してくださいました。

内緒で近藤シェフのブログを紹介しますのでご覧下さい。

約束の6時過ぎ、まずはビールで乾杯。
オーディオ談義しながら料理に合わせて赤ワインを抜いて、最高!
やはり、この時間が一番楽しいものです。いろんな楽しい話を伺いました。

そして、おなかも一杯になり、作業再開です。
今度は低域用のアンプをALLION に変更して音の変化を確認します。
本当はアンプにあわせた再調整をするそうですが、時間も無いので今回は単純に交換して聴感でレベルを調整しただけだったのですが、ALLIONの存在感を十分見せつける内容でした。

SONYのS-MASTER PROのデジタルアンプはその圧倒的な解像度の高さでノーチラスを正確に駆動していますが、低域アンプを交換しただけなのに音は一挙にALLIONに支配されました。
音の質感というか、実在感、密度感が増し、さらにリアルな方向に音が変わるとともに、音色、響きに艶が出てきます。その減衰音の美しさがALLIONの真骨頂と納得しました。
ALLIONを4台揃えるのはまたまた大変ですが1台でこの変化ですから資金ができたら、一台ずつ買い揃えていきたいなと思っています。


 最後に
祖父から中学への進学祝いにとテクニクスのコンポを買ってもらったのが35年前。スピーカーはうるさいからと買ってもらえず、ずっとヘッドホンで楽しんでいました。
それなりにいい音で満足して聴いていましたが、2年後にお年玉で買ったスピーカーをつないだときの、喜びと落胆は今でも忘れられません。

それ以来、スピーカーで「あたりまえの音」を鳴らすことが至難の業であることを思い知らされてきました。
それが今、ついに解決したのです。
気持ち良く音楽を聴きながら、ふと目を閉じてウトウトすると、一瞬自分が現実の世界ににいるのかわからなくなるこの感覚。
DEQXを導入したことで音楽を聴く楽しみと喜びを「あたりまえ」に味わうことが、やっと実現できました。

栗原さん、島元さん、今回は本当にありがとうございました。

                                              鋸南町のHO。

 
       <翌日の朝、記念撮影。左から、島元さん、オーナーさん、そして私>
   
   
 音楽を聴く楽しみと喜びを「あたりまえ」に味わうことが、やっと実現できました。

● この一言に、DEQXとめぐり逢い、お客様に喜んでいただける幸せを感じます。

● HOさん、素敵で丁寧な感想文、本当に有り難うございました。


   
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