■ DEQXを導入され、このページへの掲載をご了解頂いた方々のシステムと
    試聴リポートを掲載させて頂きました.
  また、デモなどでDEQXの音を聴いて頂いた方々の感想をそのまま掲載
  させて頂きました.


2009年10月5日>(No4よりも日付的には前になります)

・10月3日と4日、4人のベテランDEQXユーザー様宅を訪問しました。

八王子のS氏宅

    

・バーチカルツインの2Wayスピーカー、RM-6Vをメインに据えた氏のシステム。
・パワーアンプはいずれもモノラル使用で、Wウーファがマークレビンソン、
 中高域ドライバーはマランツのAクラス30Wアンプを使用されています。

・RM-6V専用のネットワーク(SP置き台の下にある黒いBOX)は使用せずDEQX
 のチャンネルデバイダーで2Wayを組んでいます。

・再生系はパイオニア製のCDPと、ハードディスからの音楽ファイルをApogeeの
 EnsembleというマシンにMacーPCで操作してFireWireで信号を送り、ここから
 SP-DIFのデジタル信号をDEQXのデジタルインプットに接続する2系統を使われ
 ています。

・CDPとEnsembleのデジタル出力はマニュアルスイッチング(つまり抜き差し)で
 切換ています。DEQXのデジタル入力は2系統あるのでですが、CDPとEnsemble
 はどちらもAES/EBUのデジタル出力がなく、SP-DIFだけなのが残念です。

・実はこの八王子のS氏宅を私が訪れるのは今回が初めてです。つまりS氏はDEQX
 を導入され、全てをご自身でセットアップされました。その過程で2Wayシステム
 の調整に必要な手順をまとめられたのがDEQX製品資料(PDF)に納めさせていただ
 いたA4用紙26枚で解る「八王子 S氏 作成の実践マニュアル」です。

・User's ReportのNo.4に登場していただいた東京のS氏も、パワーアンプを変更
 した際にこのマニュアルを見ながら、今、DEQXでの調整にチャレンジされてい
 ます。

S氏の音

・久々にRM-6Vの豪快かつ緻密なサウンドを聴かせて頂きました。DEQXでの測定
 データを見ると1mポイントでの周波数特性はさすが世界のレイオーディオ・木下
 モニタースピーカーという見事なものでした。

・ルーム測定の結果は、良くも悪くも室内の音響特性を色濃く反映したものとなりま
 す。
 S氏のリスニングルームは12畳ほどでしょうか、十分な広さですがそれ以上にSP
 システムが巨大なこともあり、中低域から中域にかけてルーム特性の影響と思われ
 るやや幅の広いピークやディップが観測されました。

・しかし、S氏の丹念な調整によってこうした特性がかなり補正されていて再生音も
 RM-6Vの特長が良く出た豪快かつ緻密なサウンドに仕上がっていました。

・もし改良点があるとすれば超低域の吸音処理(極めて困難ですが・・)と、厚手の
 絨毯を床に敷いて中高域の反射を押さえるといった事で中高域の補正が少なくなる
 とベターかもしれませんね。

・それにしても、レイオーディオ開発の仮想同軸効果でSPシステムに近い距離で聴
 いても点音源的な定位の良いサウンドが見事でした。

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八王子のN氏宅

    

N氏のシステムはこちらをご覧下さい。

・最近になってツィーターをリボン型からFostexのT500A MkⅡに入れ替えられ
 たとのことでした。

・N氏はマンションの和室をほぼ完全なリスニングルームに改造されています。
 マンションでの防音対策で最も困難な階下への影響を排除するという一点で1階
 部分を購入され、和室の6畳を改造して防音壁や二重扉に改造されました。
 音響的な配慮としては、多くのスタジオとは逆にスピーカー側の壁をライブエンド
 に、リスニングエリア側を吸音性にして豊かな音場再現を実現されています。

・S氏のオーディオ再生に対する基本的な考え方は、音が無から立ち上がり、無に
 消えることを目指しているとのことでした。このためにはオーディオルームに再
 生音以外の音(ノイズ)があってはならないということでアンプの電源トランス
 から発生するの僅かなノイズも排除するためパワーアンプは室外に追い出されて
 います。

・もちろん、パワーアンプの在留ノイズなども、能率110dBのドライバーから全く
 聴き取れないところまで自作アンプのS/Nを追い込まれています。

・私がALLIONのS-200をDEQXに最適なパワーアンプとして採用した一つの理由は
 出力200Wという強力なものであるにも関わらず残留ノイズが極めて低く抑えられ
 ていて、我が家のTAD TD-4001(能率110dB/W/m)につないでもノイズが聞
 こえないことでした。

・音楽の躍動感を表現できるアンプは残留ノイズが大きいというのは迷信です。

・N氏のリスニングルームで聞こえるのはESOTERICのP-0
Sの動作音だけでした。
 部屋のS/Nを確保することは意外に大変ですが、音楽再生にとってこの暗騒音は
 音楽の余韻を妨げる(マスキング)大きな要因です。人間の耳はその環境に慣れて
 しまうとノイズがあることすら判らなくなりますが、DEQXでSPシステムの測定
 をすると、この暗騒音ノイズがびっくりするほど大きい場合が多々あります。
 この場合、測定結果のグラフからノイズの成分が判ります。例えば50Hzや60Hz
 に大きなピークがある場合はパワーアンプのトランスや近くの家電製品などを疑っ
 てみる必要があります。

・高価なケーブル類も聴取環境のトータルなS/Nを十分に確保した環境で初めてその
 違いが解るのかもしれません。
 環境S/Nの確保、機器のベーシックな緒特性の向上、特にSPシステムや室内音響
 特性の改善が良い音への第一歩だと考えています。

N氏の音

・五嶋みどりのバイオリンが静寂の中から立ち上がり美しい余韻を響かせて消えて
 いく様子は、まるで上質な演奏会場にいるような素晴らしいオーディオ空間
 でした。

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甲府のSF氏宅

    

・SF氏宅にDEQXが入ったのは2年前の11月でした。当時のシステムはこちらを
 ご覧下さい。

・当初2Wayからスタートされた氏はその後順次マルチ化され、最新のシステムは
 ついにDEQXを2台使った5Wayまで発展していました。

・丸形のミッドバスを受け持つホーンはつい最近ドライバーがツインとなりより
 厚みのある音を聞かせてくれるとのことでした。(下3枚目の写真)

・下の写真はベースとなる2Wayシステムとその上に配置されたユニット群です。

    

    

    

SF氏の音

・5Wayというマルチでありながら一体感があり、風のような低域と部屋の空気に
 染み込むような高域は良くぞここまでと、氏の努力の跡がよく分かりました。

・ひとしきり美音に酔いしれた後で、ついつい遊び心が出て、1950年代ジャズを
 より楽しく聞くためのEQ設定をDEQXに組み込んで差し上げました。

・氏はPC内のライブラリーから古き良き時代のJAZZを選んで聴いていました。
 しばらくすると「これ良いよ、実に楽しい、うきうきする音ですね!。本気で
 鳴らしている昔のJAZZ喫茶みたい。」と、とてもご満悦の様子でした。

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甲府のF氏宅

    

・DEQXをここまでこき使っていただける方は、徳島のN氏と双璧かもしれません。

・氏は一ヶ月ほど前にDEQXのトランス式バランス出力ボードを導入されました。
 その結果、2年間に及ぶ調整で完成の域にあったシステムの音が劇的に変わった
 との連絡を受けました。

・確かに我が家のシステムもトランス式のバランス出力ボードに替えて低域の質感が
 更に向上し、高域の浸透力が増してその効果のほどは実感していましたが、F氏が
 言うような劇的な変化というほどではありませんでした。

F氏の音

・SF氏宅からF氏宅に移動し、最初に再生してくれたのが平原綾香の星つむぎの歌。
 私の好きな曲をありがとうございました。

・ええっ!凄い。こんなナチュラルな平原綾香は聴いたことがない。パーカッシブで
 分厚いバッキングの中に透き通るような綾香の声が鳴り響いています。
 F氏宅には何度かお邪魔していますが、氏が言うように確かに今まで聴いたことの
 ない美しい歌声です。氏が訴えてきた「ボーカルが自然すぎる!」が解りました。

・首をかしげながらも私が録音した「JUMELLES」を再生していただくと、あれっ
 もう少し高域が出るはず。と思いながら念のために藤田恵美を聴かせていただくと
 やはり高域が物足りない感じです。
・つまり、高域がやや強調されたきつい感じの平原綾香の声は、やや高域が甘い今の
 システムとはベストマッチングで、この上なく爽やかでナチュラルな声に聴こえる
 ことが分かりました。

・確認のためにDEQXのルーム測定結果を見せていただくと5kHz以上が-2dB/oct
 程度の見事?にローフオフした特性をしめしていました。もちろんSPシステムの
 軸上1mではフラットに調整されているのでこの変化はルームアコースティックの
 影響と思われますが、以前は確かー1dB程度のロールオフ特性だったものが今回は
 若干減衰量が大きくなっているようです。

・この原因はまだ定かではありませんが、出力ボードをトランスタイプに変更した
 直後は低域の切れと質感の向上、そして中高域のエネルギー感の向上と静かさの
 両立など納得の変化があったとお聞きしていましたが、その後の再測定と調整を
 行った結果、今回の変化になったとのことでした。

・出力ボードの変更とその後の再測定で何が起きたのか、氏はSPシステムで唯一交換
 したツィーターユニットとの相性かもと言われていましたがそうかもしれません。

・高域がややきつめの最近のCD音源に対して極上の再生サウンドを聴かせてくれる
 今の状況は絶対にキープして欲しいという思いで、DEQXの調整をさせていただき
 高域のロールオフを僅かに補正するカーブを設定して聴感上のフラットネスを確保
 するプリセットを新たに組み込み音源によって切り替えていただくことにました。

・こうした状況には色々な考え方が出来ますが、CDソースが全て完璧であれば必要の
 ない設定だと思います。でも残念ながら現実は各社各様、CD一枚ごとに収録されて
 いるサウンドの質が大きく異なるのが現実です。

・前記SF氏宅での1950年代JAZZポジションもそうですが、音楽をより楽しく聴く
 ための設定があっても良いのではないでしょうか。

・再生音に不満がある時、これを全て再生システムの側に問題があると考える必要は
 全くありません。

・最終的にCDの音を決める、いや、造るのがマスタリングという作業ですが、ここで
 EQやコンプレッサーをほんの僅かに変更するだけで出来上がったプログラムは全く
 別物になると言っても過言ではありません。

・音楽を気持ちよく楽しむためのアクティブな再生システムという考え方があっても
 良いのではないでしょうか。

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◆今回改めてDEQXユーザー様を訪問して感じたことは、それぞれの再生システム
 が全く異なるにも関わらず、そこに再現される音楽は原音再生という目標基準を
 超えた先で、楽しく、美しく、豊かに音楽を奏でることを極めて高い次元を実現
 されていると言うことでした。


   私もDEQXを導入してから自分が求めている理想に向かって
   進んでいるような気がします。
   DEQXで音響的なデータを確認しながら、今までのアナログの
   世界では不可能だった様々なことにトライできるようになり、
   私の中でオーディオの世界が確実に広がりました。


 という感想をご紹介して、リポートとさせていただきます。




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