■ DEQXを導入され、このページへの掲載をご了解頂いた方々のシステムと
    試聴リポートを掲載させて頂きました.
  また、デモなどでDEQXの音を聴いて頂いた方々の感想をそのまま掲載
  させて頂きました.


<2009年10月20日>

・下の2枚の写真を見て、違う箇所を当てて下さい。

・そうです!。上にはALTEC 416-8Aのボックスにサランネットがありません。
・そうじゃなくてェ・・・・

・そうです!。ウーファBOXの上にあるエール音響(ALE)のドライバーユニット
 が一個減っています。

・下側のシステムは08年6月のPDFファイルのように、5Wayのシステムでした。

・それを今回、3Way+Super Tweeterのシステム(PDF)に変更しました。

・その結果、早速ご感想のメールを頂きましたのでご紹介させていただきます。


 昨日と今日のシステム変更と調整作業、お疲れさまでした。そして有り難うございました。
 今日、駅までお送りした後、ずっと聴き続けていますが、透明感と空気感の再現が特にすばらしく、演奏会場の雰囲気が実にリアルに再現され、大いに喜んでいます。
 特にピアノなどはご承知 のとおり再生が難しく、概して細身の高域がきつめ、薄い音になりがちですが、栗原さんのお陰でソリッドなピアノの筐体を彷彿とさせる分厚い音に変身し、大いに満足感を覚 えています。


・ということでした。

    
        ★Osaka T氏宅のシステム(2009年10月20日)

    
        ★Osaka T氏宅のシステム(2008年6月頃)

● システム変更の概要

・T氏は先月、DEQXにトランス式バランス出力ボードを導入されました。
 その時の感想が「DEQX Club」の9月21日版に出ています。内容は、


 トランス式バランス出力ボードを装着してもらいその圧倒的な音質改善に唖然としました。5ウェイのホーンシステム ですが、今までもDEQXのお陰で大変な改善を感じていましたが、それを上回るレベルになりました。
 このトランス付きバランスアウトはDEQXの性能を別ものといったレベルに引き上げた感じがしております。それらは


  1.音の厚み(特に低域)
  2.楽器の分離感と演奏者の周囲の空気感
  3.ローレベルの音が埋もれずに出ていることが確認出来る。


 と言ったもので、いずれも今までのDEQXで感じた以上のものです。
 DEQXのユーザーの皆様に装着をおすすめします。

 

・という嬉しい感想を頂きました。

・そしてこの成果を更に推し進めるため、スピーカーシステムの見直しに着手したい
 というご希望を寄せられました。

・内容は以前からお薦めしていた、5Wayシステムを3Wayにするというものです。

・スピーカーシステムの理想はフルレンジ一発!と言われます。そうだと思います。
 しかし、現実のユニットでは物理的な制約から、低域の伸びや量感、高域の繊細感
 などでどうしても不満が出てしまうのはやむを得ないところです。

・この不満を解消するためには広帯域な中域用ユニットにウーファーとツィーターを
 プラスしたシステムが今の時代における一つの理想的なスピーカーシステムだと私
 は思っています。

・また、ホーンタイプのSPユニットはその再生音の大きな魅力の影に「固有のクセ」
 というマイナス要素がどうしても付帯します。これを解消するために再生帯域を細
 かく分割してユニットを配置し、全体として出来るだけクセを少なくする方法が採
 られる事も行われてきました。

・この結果、5Way程度はまだ良い方で、10Way以上まで行ってしまう場合もある
 ようです。こうなると機器(chデバやパワーアンプ等)の問題もさることながら、
 ユニット間の干渉問題、レベル合わせ、位相特性や群遅延特性を考慮したシステム
 の調整には10年を費やしても完成の域に達するのはなかなか困難かもしれません。

・そんな中でDEQXはこうしたSPシステムのあり方に大きな変革を起こしました。
 つまりそれまでは実質的に不可能だったスピーカーユニット固有のクセを消し去る
 ことができるようになり、ユニットが持つ潜在的な能力を100%生かした使い方が
 出来るようになったことです。

・T氏のSPシステムでキーとなる中域を受け持つユニットはTADのTD-4001です。
 このユニットは元々、600Hzから20kHzまで再生できる能力を持っています。

・そして、低域側の特性は組み合わせるホーンとデバイダーの能力で決まります。

・DEQXのデバイダー機能は最大で300dB/octという急峻なスロープ特性まで設定
 出来ます。例えば96dB/oct 程度のスロープ特性を利用して、320Hzカットオフ
 のホーンを組み合わせればで350Hz程度までは全く問題なく低域側の再生帯域を
 拡張することが可能です。

・下の図はT氏宅で測定したTD-4001の特性です。

  

・この測定結果を見ても、低域は300Hzから、そして高域も20kHzまではきれいに
 伸びていることが判ります。周波数特性から見れば必ずしもツィーターを足す必要
 はありません。

・しかし、私自身が同型のユニットを使ってみて感じたのは10kHz以上の音質にやや
 不満があることです。多分、10㎝という大型のダイヤフラムから出る高音域の音色
 に繊細感の不足を感じることや、指向性の問題(狭さ)だと思います。

・この問題点を回避するため、エール音響の素晴らしいツィーター(1750DE)に
 高域を受け持たせることにしました。

・また、氏の要望でGEMのリボン型スーパーツィーターを1750DEにパラで接続して
 使用することにしました。GEMは18kHzのローカットフィルターを内蔵しています
 ので、レベルの問題を別にすればそのまま接続することが可能です。

・そのレベルは、1750DEの能率が120dB/w/m、GEMが101dB/w/mですので、
 単純なパラ接続ではGEMが20dBほどレベルが低いことになります。

  

・上の図は1750DEとGEMの特性を含めて測定したものです。17kHzあたりまでが
 1750DEの特性で、18kHz以上がGEMとなりますのでレベル差はカタログ値ほど
 はなく、実際には6~7dB程度であることが判ります。

・中音ホーンとツィーターのクロスオーバー周波数はDEQXのデバイダー機能を使っ
 て、9KHz、10kHz、11kHzに設定したファイルを作り、これを瞬時に切換なが
 ら試聴した結果、11kHzがベストと判断しました。

・結果としては11kHz~18kHzが1750DE、18kHz以上がGEMということになり
 測定結果からも大変上手くつながったことが判ります。このGEMはウーファBOX
 の上にさりげなく置いて、空気感の再現という役割を持たせています。

・ウーファの416-8AとTADとのクロスオーバーは、350Hz、450Hz、550Hzの
 設定値をプリセットして聞き比べた結果、ボーカル等では350Hzが、クラシック等
 では450Hzがベターとなり、ここはT氏がメインに聴かれるクラシックに合わせて
 450Hzを採用しました。

・この結果、最終的にはTADのTD-4001が450Hzの中低域から11kHzまでの高域
 まで、音楽再生における極めて重要な帯域を一本のユニットで統一して受け持つこと
 になりました。

・今回の最終的なシステム構成(PDF)を見ると、TADのドライバーとパワーアンプ
 の間にトランスが入っています。このトランスは80Ω:8Ωのインピーダンス比で、
 巻線比は約3.2:1、ゲインが-10dB、容量的には30W程度のトランスです。

・何のためか?
 ※ アンプの残留ノイズが10dB低下し高能率SPユニットでもノイズが聞こえない。
 ※ アンプの負荷が80Ωと高くなり、動作が楽になって低歪み動作が可能となる。
 ※ トランス独特の効果である再生帯域のエネルギー密度の向上が期待できる。
 ※ アンプに万一の異常動作が生じても高価なドライバーをある程度保護できる。

・110dBの能率を誇るユニットはややもすると駆動するパワーアンプの残留ノイズ
 までも盛大に再生してしまいます。私の再生システムへの持論としては音楽が再生
 されていないとき、システムは一切の音を出さないのが理想だと思っています。
 これが達成できて初めて音楽の本当のピアニシモが再現できると思っています。

・しかし、トランスの採用には勇気が必要です。幸いにも甲府のFuru氏宅でその効果
 を事前に確認しておりましたので、今回はそのメリットを期待して採用に踏み切り
 ました。

・結果は大正解!。真空管アンプにありがちな残留ノイズが聞こえなくなり、音が滑
 らかに、そしてツヤも感じるようになりました。そして、音楽のエネルギー密度や
 空気感の再現にもプラスの方向に作用しているようです。
 このトランスについては改めてレポートをしたいと思っています。

・今回のシステム変更は、こうして当初の理想としたフルレンジユニットの低域と高域
 を補完するシステムにすることができ、中音域にクロスオーバーがあるシステムでは
 ありがちな音のつながりの悪さなどは当然ながら皆無。全帯域内に渡って無理のない
 爽やかな音色のシステムに仕上がったと自負しています。 

・こうしてT氏が音質向上のために決断された5Wayから3Way(+Super Tweeter)
 へのシステム移行は大成功だったと思います。

・作業を終えたT氏が、今回の変更で不要となったパワーアンプとチャンネルデバイダ
 をオークションに出そうかな・・・・と、つぶやいておられました。(ナイショ)
 
 パワーアンプ     LUXMAN  M7・・・・・2台
 チャンネルデバイダ  Accuphase DF-35・・・1台

・是非欲しいという方はT氏にご相談されてみてはいかがでしょうか。

● 今回の変更を終えて、T氏のシステムを大阪方面におけるDEQXのデモルームとして
 利用させていただくことへの快諾を得ましたので、近々、「試聴室紹介」のページに
 ご登場頂くことにしております。



2009年9月29日>

・昨日、東京都内にお住まいのS氏宅にDEQXとSPシステムをお納めしました。

・下の写真は、「今までで最高の音です!」と喜んで頂いたS氏とシステムです。
 (S氏についてはホームページをご覧下さい)

    

・10年間のニューヨーク生活で、最良の音を求めて様々なシステムを聴きまくっ
 たS氏が、今回のシステムから音が出た瞬間「今までで最高の音です!」
 と言って戴きました。私にとっても喜びの瞬間でした。

●システムの設置・導入

・今年の6月末に氏が経営するジャズバーにDEQXをかついで行きました。
 お店の3WayシステムにDEQXを入れて音を出すとその場でDEQX買います。
 と言われました。

・そして、もう一箇所オーディオシステムがあります。との事で別のお店に伺うと
 自作のBOXに収まったALTECの604-16Gがありました。
    (↓写真の白いBOX)

    

・聴かせて戴くと、BOXがユニットの性能に追いついていない感じがしました。
 そこで、Kurizz-Labo得意の密閉型BOXをお薦めしました。

・8月中旬、「あのBOX、作ってくれますか」とのお話しが飛び込みました。

・さぁ、大変。言ってしまったものの、604-16G用の密閉箱・・・
 必要な容積を計算すると、なんと400リットルと出ました。

・図面をお送りするとその大きさにびっくりされ、もう少し小さく、とのこと。

・ちなみに第一案のサイズは、幅700㎜、奥行き550㎜、高さ1,500㎜でした。

・そこで高さを20㎝低くして内容積340リットルの図面をお送りするとこれで
 お願いします。とのご返事でした。

・早速正式な図面を作り、馴染みの木工所と鉄工所に送って製作を依頼。9月末
 には出来上がるとの事で、昨日、無事に納品・組立を終えることが出来ました。

・木工所から直接オーナー様のところに送って貰ったため、私がこの完成BOXを
 見たのはこの日が初めて。感動の対面でしたが、一目見て「デカイ」と、思わ
 ず言ってしまいました。これが高さ1,500㎜だったら・・・・(汗)

・38㎝の大型ウーファと、高域ドライバーの搭載で奥行きも巨大なALTECの
 604-16Gユニットが小さく見えることからもこのBOXの大きさが判ります。

    

・オーナー様に手伝って戴きながらBOXにユニットを取り付けます。

・ユニットを固定するボルトは巨大な真鍮棒のナットで受ける構造です。

・1本が2.5kgもある真鍮棒を8本使用。合計20kgの超重量級ナットを通じて、
 前後のバッフルにユニットを固定することになります。

・BOXが130kg、ユニットが12kg、真鍮棒が20kg、合計160kg以上の重量が
 振動板の動作支点を明確にし、ユニットや箱の振動を強力に制振します。

・完全密閉構造の強固なBOXにスピーカーユニットを真鍮棒でダイレクトに固定
 する“KZ式SPシステム”は今回で4作目。その威力はまさに想像以上です。

・“KZ式SPシステム”の特長は、プログラムソースに忠実で切れの良い澄んだ
 低域がまず音楽のリアリティを描き出し、その上にDEQXで周波数や位相特性
 群遅延特性がコントロールされた精緻な中高域が音楽の心を解き放ちます。

・また、今回も実感した事ですが、例えば、ALTECの604というSPユニットが
 持つ固有の特性(個性:音質の傾向)は、そのまま現れると言うことです。

・コーン型、ドーム型、ホーン型、リボン型、コンデンサー型などの構造の違い、
 ユニットの設計や構造が作り出す音の放射パターン(指向特性)や駆動/制動力、
 そして、指向特性がもたらす音響エネルギーの周波数分布などはDEQXで補正
 した後でもユニットの個性として残ります。

・個性を活かし、欠点をカバーし、ユニットの基本性能を極限まで引き出すのが
 DEQXだということを今回のシステムでは特に実感することになりました。


    

・合計20kgの真鍮棒がユニットをダイレクトに受け止め、振動板の反作用をリア
 バッフルに直接伝える事でBOX全体の振動をキャンセリングする巧みな方法です。

・ちなみに、今回使用した木材(合板)はフィンランドバーチよりも緻密な構造
 を持ち、1,300㎜のサイズで縦方向の木目が使えることなどから、前作に続い
 てロシアンバーチを採用しました。

●再生システム

・再生システムの構成は写真のように中央下にCDプレーヤー、その上にDEQXの
 PDC-2.6P、その左右がALLIONのパワーアンプ S-200です。

・パワーアンプは1台のL/RchでLowとHighを受け持つ左右分離型としました。


    

    

・午前中でスピーカーシステムの組立を完了。ビルの1階にあるカレー屋さんで
 美味しいカレーを戴き、隣のビルの珈琲豆屋さんで美味しいコーヒーを買って
 いざ、DEQX調整へ。

・今回、DEQXの調整はS氏にパソコンの操作を全てお願いしました。

・測定マイクを設置してスピーカーシステムを測定し、クロスオーバーを決めて
 補正フィルターのデータを生成します。このデータを使ってパソコン画面上で
 DEQXの内部構成(配線)を決定し、結果をDEQXに送ると音が出ます。

・この段階で音を出してDEQXの動作を確認。うん!、良いな。さすがALTEC!
 というのが第一印象でした。

・続けて補正済のスピーカーシステムから測定信号を出して行うルーム測定を実施。
 この結果を元に定在波の補正(自動)を行えばDEQXの調整は完了です。

・早速手持ちの試聴用CDから何曲かを再生してみました。・・・・凄い!。豪快
 で緻密、604-16Gがその持てる力を存分に発揮して実に朗々と唄っています。

・S氏に「どうぞ聞き慣れたCDを聴いて下さい」とお願いすると早速数枚のCDを
 選ばれました。ジャズ、ボーカル、ロック・・・・・・・笑みがこぼれました。
 結果はこのページの最初に記載してある通りです。

・今回のスピーカーシステムの組立に際し、S氏には多大なご協力を戴きました。
 そして、DEQXの調整は私が隣でサポートはしましたが、基本的にはS氏が全て
 実行していただきました。

・ご本人曰く、こうした作業は好きなので、これを機会にDEQXをマスターして
 いろいろ試して見たい。とのことでした。

・本当にありがとうございました。

(近日中に氏の率直な感想を頂きたいと思っています。)



★追伸(おまけ情報)とお願い

 実は、今回大きな発見がありました。S氏のノートPCにDEQXの調整ソフト
 をインストール。DEQXとUSBで接続すると問題なくDEQXを認識します。
 順調に作業が進む中でふと画面の様子がいつもと違うのに気が付きました。

 「もしかするとこのPCはWindows XPじゃないのですか?」とお聞きすると、
 「ハイ、Windows Vista です。」とVistaマークを指さされました。

 私は一瞬、絶句しました。今の今までVistaでは動かないと思っていたのです。
 自分ではVistaでの動作テストが出来ない中、「Vistaでは動きませんでした。」
 というお話しを伺い、やはりダメなのかとあきらめていました。
 もちろん、現時点でDEQX社からの公式なアナウンスもありません。

 S氏のVistaがどのようなVersionなのか、また、機種依存があるのかどうかも
 判りませんので「DEQXソフトがVistaでも動きます」という保証はありません。

 でも、今回の場合は調整ソフトとして最後まできちんと動作しましたので、全く
 使えないということでもなさそうです。

 DEQXユーザー様でVistaを搭載したPCをお持ちの方がいらっしゃいましたら
 DEQXソフトの動作テストと、その結果などをお知らせ頂ければ幸いです。

 
結果をお寄せ頂いた方の中から抽選でDEQXを一台・・・・(笑)


                 
Page Topへ